次期米大統領選の共和党候補指名レースで、トップを走るドナルド・トランプ前大統領と、大差を許しながらも敢然と立ち向かうクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事との個人的確執ぶりが、米マスコミの話題を集めている。
多くの候補が「有罪」トランプを支持
これまでトランプ氏のほか、共和党から出馬表明した候補者は、ロン・デサンティス・フロリダ州知事、マイク・ペンス前副大統領、ニッキー・ヘイリー前国連大使、ティム・スコーット上院議員、クリス・クリスティ前ニュージャージー州知事、エイサ・ハッチンソン前アーカンソー州知事、ダグ・バーガム・ノースダコタ州知事、ウイル・ハード元下院議員、投資家ビベク・ラマスワミ氏の9人に上っている。
さらに今後の予備選情勢次第では、グレン・ヤンキン・バージニア州知事など数人の参戦も予想される。
候補9人のうち、ペンス氏については、2020年大統領選関連で選挙結果転覆を画策したトランプ大統領の度重なる協力要請を当時副大統領として断り続け、バイデン民主党候補当選を容認したことが、米マスコミ界でも大きな話題となった(『トランプと最後にたもとを分かったペンスの勇気と見識』参照)
しかし、先月24日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで候補者8人が参加して開かれた第1回共和党討論会では、これまで大統領選挙結果転覆容疑など4件で起訴されたトランプ氏に関連し、司会者が「もし、今後の裁判で有罪となっても党指名候補として支持するか」と〝踏み絵〟を迫ったのに対し、ペンス氏含め6人が「支持」の意向を示した。その場で明確に、「不支持」を表明したのは、クリスとハッチンソンの2氏のみだった。
罪状が何であれ、いやしくも法治国家において、主要政党の大統領候補が裁判で有罪判決を受けたとしても指名候補として容認すること自体、他の先進民主主義国家ではまず考えにくい尋常ならざるシナリオだ。
しかし、今の米国政界では、トランプ氏がどんな罪を犯そうとも、共和党内では依然として圧倒的支持と影響力を保持しており、最も恐れられる存在であることが、この討論会の場でも如実に裏付けられた形となった。