中露の反西側に抵抗するモディ首相
こういったインドの、特にモディ首相の、中国対策を念頭に置いた、グローバルサウスにおける動きは、反西側諸国という側面が弱いことが特徴だ。かつて、インドの初代首相ネルーが非同盟諸国会議を開いたとき、そこでは、植民地の宗主国である西側諸国に対する反発が、非常に色濃く反映されていた。ところが、モディ首相になって、インドは、非同盟諸国会議へ代表を送らなくなったのである。
反西側的色彩が強い上海協力機構についても、モディ首相の姿勢は、一定の距離をとったものといえる。今年、議長国として首脳会談を開いたモディ首相は、上海協力機構の首脳会談をオンラインにしてしまった。他の会議を対面で開いているのだから、上海協力機構を本当に重視しているのか、疑問が残る対応だ。
今年のBRICS首脳会談においても、6カ国の新規加盟が認められたのであるが、モディ首相が、それに強く抵抗したようである。そもそも、BRICSは、中露はいるのにG7がおらず、加盟国の選定によっては、反西側の会議になり得る。モディ首相からすれば、そのような反西側連合に巻き込まれるのは嫌がったのである。
西側には入らないが、西側にとって必要なものを提供する
このように、インドは、対中国を念頭に置いたグローバルサウス対策を、かなり大規模に進めている。それは、中国とロシアが目指す、反西側連合の形成を阻止する効果を示している。
24年1月のインド共和国記念日の軍事パレードに、モディ首相は日米豪の首脳を招待し、日米豪印4か国の枠組みQUADの軍事パレードにすることを決めつつある。西側諸国の植民地だったインドが、西側諸国になることはないとしても、モディ首相としては、中国を念頭に置いた、西側諸国と協力するメッセージを打ち出すようである。