2024年12月22日(日)

インドから見た世界のリアル

2023年9月8日

 2023年8月に開かれた新興5カ国(BRICS)首脳会談において、注目されたのは、加盟国の拡大である。24年1月以降、6カ国が新たに加盟することが決まった。BRICSは、もともとブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国なので、BRICSは11カ国体制になる。

2023年BRICS首脳会議。グローバルサウスの獲得が進められている(代表撮影/ロイター/アフロ)

 9月9~10日に開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会談もまた加盟国の拡大が注目されている。主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)に加え12カ国の枠組みだが、今回、アフリカからナイジェリアを加えるかどうか、検討されている。

 なぜ加盟国を増やすのだろうか。加盟国を増やせば、何か決めるのは大変になる。それでも増やした方がいいと考える背景には、加盟国を増やることが味方を増やすことにつながり、味方を増やせば、影響力を増すことにつながる、という思惑がある。特にグローバルサウスの国々をめぐって、加盟国を増やす競争が起きているのだ。

なぜ、獲得合戦なのか

 なぜグローバルサウスなのだろうか。理由は大きく3つある。

 まず、グローバルサウスの国々の影響力が増し、味方に加えることがより重要になっていることだ。1980年代には、例えば、G7が世界の国内総生産(GDP)の6割を占めていた。しかし、過去30年、グローバルな自由貿易の中で経済成長した新興国が台頭し、G7のシェアは4割程度になった。

 そこで、G7に新興国を加えた枠組みであるG20や、新興国中心の枠組みであるBRICSが登場した経緯がある。G20のGDPを合わせると、世界の85%を占める。

 今後、より多くの国が新興することを考えると、より多くの加盟国を加えた枠組みが影響力を示すだろう。そこに、加盟国を増やすことの意味がある。

 第二に、ロシアのウクライナ侵略によって、グローバルサウスの国々が政治的に無視しえない影響力があることを、世界で再認識せざるをえなくなったことだ。例えば、G7がロシアに経済制裁をかけても、グローバルサウス各国が協力しなければ、効果は限定的になる。西側諸国が武器をつくる部品、半導体などをロシアに販売することを規制しても、ロシアは、グローバルサウス各国に販売されたものを、それらの国々経由で購入して、手に入れてしまうからだ。

 実際、ロシアの軍需産業は、戦争に必要なものを24時間体制で作り続けている。24時間稼働させる部品や原材料があるのだ。


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