米シンクタンク、大西洋評議会のフン・トラン(元国際通貨基金〈IMF〉国際資本市場副局長)が、中国とインドはBRICSの拡大を巡って対立しているが、世界はBRICSと対話すべきだと2023年8月8日付の大西洋評議会ウェブサイトで述べている。
8月22日から24日までBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国および南アフリカ)首脳会議が南アフリカで開催される。
しかし、BRICSの将来ビジョンにつき内部分裂が明らかになってきた。インドは、BRICSを中国の地政学的な野望を支援する組織に変えようとする試み(一帯一路や反米批判など)に抵抗し、南南経済・金融協力プロジェクト、国際金融機関改革などに焦点を当てたい。南アフリカは、アフリカ諸国との連携を重視する。
加盟国拡大に関する中印両国の意見不一致もある。22カ国が加盟を申請し、同様の数の国が関心を示している。しかし多くの国を受け入れることは、グループの結束を薄め、合意原則の下では非効率になる。中露は、早く拡大したい。多くの国は経済的に中国に近づく機会としてこの組織を捉える。他方インドは、新メンバーが中国のアジェンダと連携する場合、自国の影響力を失うことを懸念する。インドは、まず新メンバー受け入れ基準に合意すべきと提案している。
グローバルサウスの幾つかの国が、途上国間の政策調整の場を設立しようとしている。主要7カ国(G7)はBRICSとの対話の方法を見つける必要がある。もしインドの考えに従って金融システム等の改革案を出すなら、G7は即座に否定しないでBRICSと議論をすべきだ。一方、BRICSが中国主導の反西欧の場となる場合、G7は自らの改善案を出し対抗するのが効果的だ。いずれにせよ、BRICSは時代の要請であり、世界はそれと対話する準備をしておくべきだ。
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BRICS首脳会議は、8月22日から3日間、南アフリカで開催された。中国の習近平国家主席、インドのモディ首相、ブラジルのルーラ大統領、南アフリカのラマポーザ大統領の4首脳が出席した。ICC(国際刑事裁判所)から逮捕状が出ているロシアのプーチン大統領はオンラインで参加した。域外からも多くのグローバルサウスの首脳などが参加した。会議では、経済協力(BRICS銀行の強化や通貨問題など)、加盟国拡大などが話し合われた。