2023年9月9~10日、議長国のであるインドのデリーで主要20カ国・地域(G20)首脳会談が開かれた。このG20は、過去のG20と全く違う、大きな変化をとげた。本稿では、どこが新しいのか、それが今後、どのように影響するのか、分析を試みる。
インドがしかけたグローバルサウス主導のG20
今回のG20で最も特徴的だったのは、インドがグローバルサウスの声を世界に届けることを掲げる中、中国の習近平国家主席と、ロシアのプーチン大統領が欠席したことだ。一応、中国からは李強首相、ロシアからはラブロフ外相が出席したから、一定の影響力は残したのだが、これはG20の性質を大きく変えるものとなった。
G20首脳会談は、もともと中国の世界的貢献を宣伝する場であった。08年、リーマン・ショックで打撃を受けた世界において、中国がばらまいた資金は一定の救済となった。その時、G20首脳会談を始めることになった。
目的は、主要7カ国(G7)の先進国と欧州連合(EU)が、中国を含む12の新興国と協力して、世界経済を安定させることであった。中国の貢献がきっかけだから、中国が存在感を存分に発揮する枠組みで、これまで、中国は常に国のトップ、習氏が参加してきたのである。
ところが、今回、中国とロシアのリーダーが欠席した。中露の存在感は落ち、G7と新興国が協力し合う場に変わってしまったのである。
中国とロシアは、今、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国を合わせた国々、そこにおける影響力をめぐって、西側諸国と争っている。だから、本来であれば、G7だけが出席して、中露が出席しないということは、グローバルサウスでの影響力競争で、中露にとって不利に働くはずだ。なぜ欠席したのだろうか。
中国国内の情勢を見ると、中国の国防相の汚職疑惑が取り上げられていることから、国内情勢によって、中国の国家主席がでられなかった可能性がある。でも、8月に習氏は新興5カ国(BRICS)首脳会談に参加しているから、国防相の汚職問題が、どの時期に深刻だととらえられるようになったのか、G20首脳会談欠席に直結する話だったのか、現時点ではわからない。
プーチン大統領については、国際刑事裁判所から逮捕状が出ており、インドでは身の安全が保障されない。だから、出席するのはリスクが高いという判断があったのかもしれない。