2024年4月14日(日)

教養としての中東情勢

2023年5月29日

 トルコ大統領選の決選投票は5月28日行われ、現職のエルドアン大統領(69歳)が野党統一候補のクルチダルオール氏(74歳)を破って当選した。エルドアン氏は3期目で、独裁的な長期政権を継続することになった。同氏は北大西洋条約機構(NATO)の一員でありながらウクライナ侵攻のロシアのプーチン大統領と親密な関係を維持しており、プーチン氏にとっては追い風になった。

(ロイター/アフロ)

バラマキと広報マシーン

 アナトリア通信によると、エルドアン氏の得票率は52.2%、クルチダルオール氏は47.8%で約4ポイント差だった。投票率は85.7%。エルドアン氏の勝利は権力の座にあった過去20年間でトルコの国内総生産(GDP)を3倍にし、20カ国・地域(G20)の仲間入りさせた経済発展の実績や、ウクライナ戦争の仲介など国際舞台での活躍に対する信任が背景にある。

 しかし、最近の経済状況は通貨リラの対ドル相場が半減し、40%を超えるインフレや、2月の大地震の損害が15兆円にも及ぶことなどから低迷し、生活苦にあえぐ国民の不満が高まっていた。政府への批判を反映してか、14日の本選挙の事前の世論調査では、クルチダルオール氏が数ポイントリードしていたほどだ。

 危機感を深めたエルドアン氏は選挙に向けてバラマキ戦術を大々的に展開、公務員の給与を30%、最低賃金を55%アップしたほか、住宅ローンの金利引き下げや燃料費の補助金給付などの施策を次々に打ち出し、地震の被災地には住宅65万戸を建設することを約束した。

 同氏は2016年のクーデター未遂事件以降、政権に批判的な新聞や放送局を130社以上つぶし、すべての報道機関を親エルドアン派に変えた。今回はその広報・宣伝マシーンを選挙運動にフルに活用した。

 メディアの監視団体によると、国営放送局の一つは選挙期間中、エルドアン氏を32時間も取り上げたが、クルチダルオール氏はわずか32分間だったという。クルチダルオール氏が「最も不公正な選挙」と批判したのはこうした実態を指したものだ。


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