2024年6月24日(月)

Wedge2023年10月号特集(ASEAN NOW)

2023年9月26日

 東南アジア諸国連合(ASEAN)を表すキーワードの一つ、多様性──民族、宗教、文化、政治体制──に加え、経済発展段階、産業構造などが域内の国々の間で異なる。こうした多様性を特徴とするASEAN市場で、類似の消費行動をとる消費者が急速に増えている。

 スマートフォンからインターネットで商品情報を検索し、オンラインで商品を購入、SNSに口コミを投稿するなど、購買行動においてデジタルチャネルを積極的に活用する消費者だ。コロナ禍の行動規制のもと自宅で行う消費活動、いわゆる巣ごもり需要が高まり、Eコマース(EC)、電子決済、オンラインゲーム、オンライン学習などの市場が拡大した。ASEANでは2020年からの3年間で実に9500万人もの人がネット上で初めて消費を行った。

 過去1年にインターネット上で少なくとも1回以上モノを購入したり、有料サービスを利用したりした消費者をデジタル消費者と定義すると、ASEAN主要国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)のデジタル消費者は22年末時点で3億7000万人と15歳以上人口の実に82%を占め、27年にはその数は4億200万人に達するとの試算がある。これに伴い、ASEAN主要国のデジタル市場規模(EC、フードデリバリー、配車、オンライン旅行、オンラインメディアの流通取引総額)は、22年の1940億ドルから、30年に約6000億ドル~1兆ドルと3~5倍の規模に拡大するとの予測もある。

ジャカルタのサトウキビ・ジュースの屋台。決済は当然のようにスマートフォンで行われる(BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

 域内最大のデジタル消費市場は2.7億の人口大国インドネシアで、22年時点で全体の40%を占める。近隣と比べ圧倒的規模の同国市場での事業展開には多くの企業が注力しており、具体的事例は後述する。一方で、今後の市場の伸びに着目すると、ベトナムとフィリピンが際立っている。両国とも人口1億人を超え、所得向上にともなう成長ポテンシャルが大きく、30年にベトナムの市場は22年時点の5.2~8.7倍、フィリピンは5.0~7.5倍の規模になると予想されている。

 デジタルサービスが東南アジアの人々の生活にどのくらい浸透しているのか、インドネシアの首都ジャカルタ在住で小売企業に勤める、あるワーキングマザーの1日を例にみてみよう。


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