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2013年10月18日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 ところが日本はこのプライマリー・バランスにはほど遠い。消費税の引き上げ論議が佳境だが、予定通り15年10月に消費税率が10%になっても、プライマリー・バランスは黒字にならない。借金が増え続けるというのだ。

 日本の財政の借金体質は長年問題視されてきたが、それが顕著になったのは1990年代後半からだ。99年3月末には437兆円だったものが、03年3月末には668兆円に拡大。その後10年でほぼ1.5倍になった。

 支出では社会保障関係費が最も多く歳出の3割を占める。高齢化によって年金や医療費が増えることが最大の歳出の増加要因。借金返済のための「国債費」も毎年ジワジワ増えている。

 もっとも、この十数年の借金増加も同じペースで増えてきたわけではない。小渕恵三内閣では経済対策として公共事業などを大幅に増やしたため借金が増えた。小泉純一郎内閣の前半まで、国の借金はおよそ2ケタの伸び率で増えた。これにブレーキをかけたのが小泉内閣後半の構造改革路線だった。05年度に5.9%増えた借金は06年度は0.8%増、07年度は1.8%増となり、08年度にはマイナス0.3%とわずかながら減少した。

 歳出を抑制する予算を組む一方で、規制改革などによって経済を成長軌道に乗せることで税収を増やす。小泉政権末期から第1次安倍晋三内閣にかけての政策が借金増加に歯止めをかけていたことが分かる。安倍首相が経済政策「アベノミクス」を推し進め、デフレ脱却を第1に掲げるのも、この経験があってのことだ。

 企業や一般家庭が、借金が雪だるま式に増える借金地獄に陥ったとしよう。本気で借金を減らすにはどうするだろう。というより、カネを貸している銀行などの金融機関や、債務整理をする弁護士は何と言うか。

 まず持っている資産を売却して、借金の総額を減らしましょう、と言うだろう。そして、使っていない不動産や貯金があれば、まずはそれで借金を返すに違いない。「いや、来年には収入が増えるはずだから、資産は売りません」とは言えないはずだ。

 政治家や官僚が、本気で日本の借金を減らそうと考えたなら、国が持っている資産を売却するのが当然だろう。実は国も、民間企業が作るような貸借対照表(バランスシート)を作っている。10年3月末で負債総額はすでに1019兆円となっている一方で、資産も629兆円あるのだ。しかもそのうち428兆円は金融資産だ。

「資産と言っても売れるものは少ない」と財務省の幹部は言う。本当だろうか。

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