公共施設の運営権を 民間へ
英国政府は国営の郵便会社「ロイヤルメール」を来年4月をメドにロンドン証券取引所に上場し、株式の過半数を売却する方針だ。英国政府も財政赤字に苦しんでおり、借金を削減するために国営企業の株式売却を進めている。日本でも日本郵政をはじめ、政府が株式を保有する政府系企業は数多く残っている。
ようやく郵政の上場は動き出したが、有料道路や空港、上下水道など、財政赤字を抱える国なら真っ先に売却・民営化している資産がまだまだ国や地方の保有資産になっている。
自民党の推計によると、有料道路、空港、上下水道、港湾、公営鉄道といった国や地方が持つ「料金収受型インフラ」の総資産価値は185兆円(負債96兆円)にのぼり、年間7兆円の収入を生んでいる、という。こうした政府・地方政府の保有資産を売却する余地はまだまだあるのだ。
アベノミクスの成長戦略では「官業の開放」という言葉が盛り込まれ、コンセッション方式による官業の民間委託などを打ち出している。コンセッション方式とは空港や港湾など公共施設の運営権を民間業者に売却する方法で、11年6月に改正施行されたPFI法によって日本でも実施が可能だ。
インフラを売却すると言うと、「外国のハゲタカに買われる」という反対論が出てくる。東欧の旧社会主義諸国などで空港などを外国資本に売却した姿が思い浮かぶのだろう。
だが心配はいらない。日本が売却した資金を国債の削減に当てるならば、国債を保有している人の資金が、こうした民営化会社の株式へと移動するだけだからだ。日本国債の大半は日本人が持っているわけだから、売却する資産が優良資産であれば日本人もこぞって買う。
本気で財政再建をしようと思うのなら、何が何でもプライマリー・バランスを黒字にし、借金を減らすために持っている資産を思い切って売却することだろう。せっかく消費税を上げても、その分歳出を増やしてしまったら、永遠に借金は減らない。
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