中国企業の担当者は、「日本側から何を吸収したか」という問いに対して、「業務ノウハウや設計図や仕様書の書き方、そして品質管理の手法である」と回答している(09年1月、アジア研究Vol.55「中国ソフトウェア産業の技術発展」高橋美多)。
「オフショアリングの進展とその影響に関する調査研究(07年3月、総務省)」によると、「開発コストの削減」をオフショア開発の理由に上げている企業が93.8%、「国内人材の不足の補完」と答えている企業が80.2%(重複回答可)と回答している。中国人労働者の賃金が高騰しつつある中でも、中国へソフトウエア開発を依存し続ける日本の姿が見て取れる。
是正すべき国内の人材不足
最近多々目にするソフトウエアの不備や情報漏えいの類は、日本人がソフトウエアの検修能力までも失いつつあるのではないだろうか。ソフトウエアの品質さえも中国に依存している日本は、非常に危険な状況にあるといえる。
ソフトウエアの開発過程は、従来の外部設計、内部設計、プログラミング、テストというウオーターフォール型の工程から、小さな機能単位に素早く(Agile:アジャイル)開発を繰り返していくアジャイル開発が主流になりつつあるが、国内人材の不足は解消しそうにない。
捜査関係者は、「富士通の管理体制はどうなっているのか危機感を感じております」と語っている。日本の重要システムを扱う企業として、富士通グループ全体のセキュリティ体制あり方をぜひ見直して欲しい。日本企業として責任ある対応を願うばかりだ。