2024年3月4日(月)

勝負の分かれ目

2023年11月16日

日本シリーズではまった「セオリー通り」の采配

 紆余曲折の野球人生はしかし、不思議な運命をたどる。65歳で古巣の阪神を率いて、因縁のオリックスとの日本シリーズ。雌雄を決した第7戦では、選手起用がピタリとはまった。

 開幕投手を務めながらも、シーズン8勝(6敗)と不調に苦しんだ青柳晃洋投手を先発マウンドへ送り出した。エースへの信頼は「最初から7戦目は青柳と。公式戦は青柳でスタートし、最後も青柳で締めるということで」との言葉に凝縮されていた。

 同じく春先のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に名前を連ねながら、シーズンはけがもあって調子が上がらなかった湯浅京己投手も日本シリーズのマウンドへ送り出した。1勝2敗で迎えた第4戦。同点の八回2死一、三塁のしびれる場面で、1軍登板は6月15日以来となる起用に答えた右腕は、1球でピンチを脱した。

 岡田監督は試合後、「奇襲ではない。流れを変える必要はない。抑える投手を投げさせるだけやんか」(時事通信の11月10日配信記事)と語ったという。つまりは、決して〝大胆な起用〟ではなく、力で押せる投手を「セオリー通り」に使った采配だった。

 日本シリーズのMVPには不動の1番打者としてチームを牽引した近本光司選手が選出されたが、11月13日配信のデイリースポーツの記事によれば、ABC「newsおかえり」に生出演した際、「俺でもいいんじゃないかと(笑)」と笑顔で明かしたという。それだけの自負があって当然だろう。

 サンケイスポーツの15日配信記事によると、正力賞を受賞した岡田監督は「みんなから選考で選ばれるいうことは、それはめちゃ光栄よ。やっぱりな」と秋季キャンプが行われている高知県内のチーム宿舎で喜びをかみしめたという。

 優勝を「アレ」と置き換えて、ファンの楽しみを膨らませた今季に続き、2連覇が懸かる来季以降、阪神の「黄金時代」幕開けを予感させる。解説者時代から監督の目線を忘れることなく、阪神の選手たち、戦いぶりをみてきた指揮官が、本来の〝居場所〟で輝きを一層、放っている。

   
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