野党の目線は立法院選挙か
総統選は民進党有利に進みそうだが、国民党も民衆党も、既に目線の先にあるのは総統選ではなく一緒に戦われる立法委員選挙(113議席)との指摘がある。こちらは野党優勢との見方が出ている。
国民党と民主党は一部選挙区で選挙協力を順調に進めている。民進党を過半数割れに追い込むことが両党の共通目標。両党が過半数を握り院内の共闘で合意すれば、正副院長(国会議長と副議長)の座を得られるのは間違いない。
小政党の民衆党にとって、正副議長のポストは悪くない。柯氏は総統選よりも、国民党との共闘で立法院選挙に勝利した方が、政治的な利益は大きいと考えている可能性がある。
国民党関係者は、野党候補の一本化の失敗で、従来の民進党と国民党の対決構造が鮮明となることで、反政権票が国民党に集まりやすくなったとみている。国民党単独で過半数は無理でも最低で40議席は固く、50議席を得る可能性もあるという。
〝台風の目〟郭台銘撤退の裏には
総統選挙では、郭台銘氏が、女性歌手の頼佩霞氏とともに総統、副総統候補として、立候補を表明したことが話題となった。
両氏は国政政党に所属せず、無所属から出馬となるため、有権者約29万人以上の署名が必要だったが、台湾の中央選挙委員会によれば90万人を超える署名を集め、候補者としての資格を得た。
なお、中国当局は10月から、ホンハイ傘下の富士康科技集団(フォックスコン)の広東や江蘇の拠点に税務調査、河南と湖北の拠点に対しては事業用地の使用状況に関する調査を開始。11月21日、虚偽の税額算出で2万元(約42万円)の罰金支払いを命じた。
台湾で対中国政策を所管する大陸委員会の邱太三主任委員は10月末、中国当局の調査は郭台銘氏の台湾総統選挙立候補を阻止することが目的との見方を示した。
郭氏は当初、中国の代弁者とみられていた。しかし、中国本土の台湾企業団体、全国台企聯の李政宏会長は9月、郭氏の立候補について、総統選の野党候補者の票が割れ、与党・民進党からの政権奪還が遠のくため「非常に憂慮している」と述べた。中国当局の考えを代弁したものだ。
郭氏は11月24日、総統選からの撤退を正式表明した。中国当局の調査開始後、撤退を準備し始め、時機と理由を検討中と観察されていた。同氏が23日、国民党や民衆党の代表と話し合ったのも、面子を保ちながら撤退するためだったとみられている。
総統・副総統と立法委員の椅子を巡る、緑(民進党)、青(国民党)、白(民衆党)の戦いは、来年1月の投票を目前に、ますます激しさを増しそうだ。もちろん赤(中国共産党)の干渉が激しくなるのも間違いない。