「大山鳴動してネズミ一匹」と言っては失礼かも知れないが、来年1月13日に投開票が行われる台湾総統選挙で、最大野党国民党と第二野党民衆党の候補者一本化は、多数の大物が入り乱れる大騒動の末、結局不発に終わった。
最大野党の国民党は、総統選立候補者の届け出が締め切られる11月24日の午前、中央常務委員会を開き、総統候補の侯友宜氏が、民営放送局、中国広播電台董事長の趙少康氏を副総統候補にすると宣言。野党候補一本化構想の破局が確定した。
第二野党、民衆党の総統候補で、前台北市長の柯文哲氏も24日、台湾の複合企業「新光集団」の創業者、呉火獅氏の孫娘で、立法委員(国会議員)の呉欣盈氏を副総統候補とすると発表。同日、届け出を行った。
両党の破局は、有権者の中で、8年間続く民進党政権の終えんを願う人々を心底がっかりさせた。彼らは気を取り直し、総統選と同時に行われる立法院(国会)の議員選挙での野党の善戦に期待を寄せている。
急進展から破局へ
台湾総統選挙は、与党民進党候補で現職副総統の頼清徳氏が各種世論調査で一貫して首位を保っていたが、今年8月以降はさらに支持率を上げて独走状態に入った。ネットメディアの美麗島電子報が行った11月13~15日の調査でも、頼氏が33.6%、侯氏が28.5%、柯氏が20.5%。頼氏の支持率は漸減傾向だが首位を維持した。
しかし、国民党と民衆党が候補者を一本化すれば、支持率は頼氏を上回る。国民党側は、連立政権構想を持ち出して、柯氏に副総統候補として共闘するよう説得を続けてきた。
国民、民衆両党の候補の一本化は当初、極めて困難とみられていたが、立候補届け出期限目前の11月15日に急進展し、にわかに現実味を帯び始めた。馬英九前総統が両党代表を集めて会合を開き、複数の世論調査の結果に基づいて総統、副総統候補を決める案を提示。最終的に両党代表が賛同し、11月18日に決定するとことを決めた。
馬英九氏、国民党、民衆党がそれぞれ世論調査の専門家を推薦。7日~17日に行われた6種類の世論調査結果に対し分析と評価を始めた。
国民党側の主張では、6種類のうち5種類で侯氏優勢。民衆党側は、両候補の差は誤差の範囲で、3対3で対等だと主張。民衆党側が署名を拒み、結局物別れに終わった。