2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2013年10月17日

世界で一番少ない日本の高等教育予算

 OECDの統計によると、GDPあたりの高等教育予算は、加盟国の中で日本が世界一少ない(およそ0.8%)。それなのに何とかやっていけるのは、家庭に負担をかけているからである。実際、公的と私的な予算を合わせると世界水準に達する。

 大学への予算配分は年々少なくなっている。その分を補うため、外部資金に頼らざるを得ない。外部資金は強い大学に集中する。当然のことながら、東大が一番である。東大を100とすると、京大が60、阪大、東北大が50とつづき、10番目の大学は東大の15%程度に過ぎない。アメリカ、イギリスでは、10番目の大学でも、1位の大学の30%程度を確保していることを考えると、日本の大学がいかに東大に集中しているかが分かるであろう。

 東大の現執行部が発足したとき、私は、「東大一人勝ちは何故悪いか」という題目で、執行部メンバーに講演した。東大および旧帝大系の少数の大学に予算が集中することにより、人材と研究の多様性が奪われるからである。

●高等教育予算についての3つの提言

(1)高等教育への予算を、OECD参加国の平均値(GDP比1.4%)まで引き上げる
(2)予算の効率的運用を図るため、大学の機能分類(研究を重点的に進める大学、地域に貢献する大学、人材養成中心の大学など)を進める
(3)少なくとも上位30大学には、 研究大学に相応しい予算配分をする

 今、世界は急速にグローバル化している。世界のトップの大学の講義がインターネットで誰でもどこでも聴講できるような時代になったのだ。しかし、わが国の大学は、ガラパゴス化している。このままでは、日本の大学は世界から取り残されてしまうであろう。

■特集『ガバナンスなき教育委員会 先送りの文科省 教育はなぜ変わらないのか』
◎改革に抵抗する教育界と問題先送りする文科省
◎ギルド化する教員ムラ 動かざること岩盤の如し
◎親離れできない大学 子離れできない文科省 黒木登志夫(前岐阜大学長)*本記事

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◆WEDGE2013年10月号より










 

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