2022年12月6日(火)

Wedge REPORT

2013年10月17日

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黒木登志夫 (くろき・としお)

前岐阜大学長、東京大学名誉教授

1936年生まれ。東北大学医学部卒。東京大学医科学研究所教授などを経て、2001年6月より岐阜大学長。08年から日本学術振興会学術システム研究センター副所長、12年より同相談役。東京大学名誉教授、岐阜大学名誉教授。著者に『落下傘学長奮闘記』『知的文章とプレゼンテーション』(いずれも中央公論新社)など。

●学長選考についての3つの提言

(1)「サーチ委員会」により、広く学長に相応しい人材を探索する
(2)候補者を対象に意向投票を1回だけ行い、選考の参考資料とする。結果は学長決定まで公表しない
(3)学長は、6年の任期の半ばに、実行力と改革への取り組みなど学長としての適格性について、外部委員会の評価を受ける

教授会支配から脱却できるか

 私は、学長を辞める際、『学長の遺言状』という講演をした。その中で、教授会についての監事レポートを紹介した。

・法人化に伴う教員の意識改革は十分に浸透していない
・学部意識が強く、教授会決定がすべてであるという法人化前の意識が強く残っている
・教授会が大学全体の改革にブレーキをかける場合がある
・学長のリーダーシップにより、学部の自治が侵されるという被害者意識をなくす必要がある

 まさに、監事の指摘の通りだと思う。国立、公立、私立大学を問わず、教授会は強い存在である。学長がリーダーシップを発揮しようとしても、教授会の反対で実現できない。人事と予算を戦略的に使おうとしても、教授会が目を光らせ、勝手に使わせないよう見張っている。

 秋入学という革新的な提案をした東大も、教授会の理解が得られず、実現できなかった。私は、学長のとき、入試制度、学位審査などいくつかの問題を指摘して、教授会に改革を迫ったが、反対されて実現できなかった。TOEICによる英語の習得別講義を導入しようとすると、最初に反対するのは英語の教員であった。

 学部長にもリーダーシップは期待できない。教授会メンバーの互選で選ばれた学部長に期待されているのは、学部の利害を守ってくれることであり、問題が起きたときの調整役である。選挙で選ばれた学長と同じだ。

 もとより、教授会は学校教育法で定められた組織である。教育と研究の現場からの声であるので、基本的に尊重されるべきだと思う。しかし、教授会を「学部の自治」の盾とし、部局の利害を第一に考えて行動されたのでは、大学としてのガバナンスなどできない。

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