社会参加とは?
では、3本柱の最後、社会参加について見ていこう。社会参加とは、なんらかの形で「世の中に」参加する事だ。仕事をする以外でも、ボランティアなどの社会貢献活動や、趣味やスポーツや勉強、友人との会食や人づき合い、デイケアやデイサービスなどの福祉サービスを利用するなどが含まれる。
ハンドブックによると、「退職時の年齢が1歳高くなるごとに認知症リスクが3%低下することがわかっている」そうで、社会とのかかわりがいかに認知症に関係しているかが強く思い知らされる。
「人との交流が少ないと認知症になる可能性が高まることは、複数の研究によって示されています。ある研究では、同居人以外の他者との交流頻度が週に1回未満という状態は、それ以上の交流がある者とは明らかに健康状態が異なり、自立した生活を送る能力の低下や認知症発症、ひいては早期死亡のリスクが有意に高くなることが指摘されています」(ハンドブックより)
週1回以上は、誰かと会話や交流を行うように心がけるといいようだ。
ハンドブックでは、このほかに、脳トレなどの「認知機能訓練」や、「喫煙、飲酒、難聴、睡眠障害」など生活習慣についても詳しく書いてある。
「これらすべてを行うのが難しいとしても、できることを少しでも行うのが大事です。私がよく言っているのは、100点を目指さなくていいということ。3本柱の要素全部を少しずつ取り入れてもいいし、頑張れるものだけで満点を目指してもいい。合計60点になるならOKという意識で、続けることを重視しましょう」(櫻井先生)。
実行し、続けていくために、ハンドブックの巻末には「生活ノート」のページが設けられている。これは、「毎日の身体活動・知的活動・社会活動」を記録するもので、櫻井先生の指導する患者さんたちにも好評だという。
MCIハンドブックは、厚労省のHPから誰でもダウンロードすることができるので、手元に置いて存分に活用するといいだろう。(続く)