2024年2月26日(月)

一人暮らし、フリーランス 認知症「2025問題」に向き合う

2023年12月15日

(Ole_CNX/gettyimages)
認知症人口は、2025年には700万人になると言われている(厚労省「認知症高齢者の将来推計について」より)。この連載では、認知症を回避するためにできることはあるのか、そして認知症対策として今、どんな取り組みが行われているのかなどを、様々な現場に足を運びながら見ていく。なお、筆者の立場は、「離れて住む実家の母の認知症を防ぐこと」。よって、対策を見ていく際には、「どうすれば自分以外の人にその対策を行ってもらうことができるのか」も合わせて考えていきたい。

対策情報はどこにある?

 今年の連休後、実家の母に認知症になってほしくないという思いから、私は認知症について調べ始めた。認知症そのものというよりも、認知症対策に関してだ。

 意識し始めると、認知症という単語は、予想以上にあちこちにあふれていて、今、世の中が認知症を受け入れるために動き始めていることを強く感じた。

 とはいえ、情報を手繰っていくと、行きつく先のほとんどが介護やケアに関するもので、認知症対策に関する取り組みについては、今ひとつわかりにくかった。

『子育てとばして介護かよ』(島影真奈美、KADOKAWA)。認知症になった人たちの行動や触れ合い方などがとても読みやすく書いてある。

 そこで、一足飛びに有効な情報にたどり着きたいと考えて頼ったのが、ライター仲間で介護ジャーナリストの島影真奈美さんである。『子育てとばして介護かよ』(島影真奈美、KADOKAWA)。

 島影さんは義父母の介護をおこなった経験を著書に書いていて、私も拝読していたのだが、そこには認知症に関する記述もあった。

 しかも、その後彼女は大学院に入って老年学を学ぶと共に、東京・高円寺で発足した「銭湯息つぎプロジェクト」という取り組みの運営メンバーの一人にもなっていた。

 実際の介護経験者であり、様々な取り組みに詳しい島影さんなら、私の素人ノリの疑問にも答えてくれると踏んだのだ。

 が、対話を申し込んだ時期がちょうど博士論文の試問時期に重なっていたとかで、細かく取材することができなかった。その代わり、「銭湯息つぎプロジェクト」のオフ会への参加を勧められたのだが、これが私には良かった!

 というのも、会には介護にかかわる様々な立場の方が参加していたので、彼らから色々な場所で実際に行われている取り組みやオススメの場所を教えてもらうことができたのだ。

 おかげで、私はもらった情報の現場に次々に出かけて行くことができたのだが、それらはことさらに「認知症」とか、「認知症対策」と謳っているものばかりではなかった。しかし参加してみると、「対策になりそうだ」と感じられたり、「改善効果が実証された」と教えられたりするものだった。

 そう考えると認知症対策のための情報は、「対策」というワードで探すよりも、まずは気軽に参加できる「現場」に飛び込んでみて得るのがスムーズなのかもしれない。

 そもそも、「認知症対策」と謡ったら、どんなに良い取り組みであっても、「認知症を対策すべき層」の人がそっぽをむく可能性だってあるのだ。自分自身がすでにその「層」に足を踏み入れている自覚があるだけに、対策のための取り組みをどう表すかは難しいだろうなとも思った。

東京都のサイトが秀逸

 一方、行政での取り組みを見るためにチェックしたのが、東京都の作っているサイト「とうきょう認知症ナビ」である。このサイトがとても見やすくて、認知症そのものの勉強にもなったので、少していねいにご紹介する。

 まずトップページに、「このサイトは、認知症になっても本人と家族が地域で安心して暮らせるまちづくりの実現に向け、認知症の基礎知識や相談窓口の紹介、東京都で実施している各種の研修会、施策の検討状況などについて総合的に発信する、東京都の公式サイトです」と書いてある通り、認知症に関して「必要と思えるほとんどのこと」をしっかり伝えてくれている。

 たとえば、私のような認知症の素人が「認知症って何?」と思ったときには、「認知症とは?」というページで基礎から(しかも専門的な内容までを)わかりやすく教えてくれるし、「認知症の人を支えるために」のページでは、認知症の人たちの気持ちを思いやることの大切さを改めて思いおこさせてくれる。全篇を通じて、認知症という未知の出来事がふいに降りかかったあらゆる人に優しく寄り添おうとしてくれる姿勢が感じられて読みやすいのだ。

 認知症の人が同じことを何度も尋ねたり、時間を繰り返し確認したりするのは、記憶障害がもとで生じる不安を和らげようとしているからかもしれないとの記述には、「なるほど、不安だから何度も聞くのか」と私は初めて腑に落ちたし、認知症について考えるときは、認知症の人の気持ちに思いをはせることが第一なんだと改めて思わされた。


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