対策は早期発見から!
中でも秀逸だと思えたのが、「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」ページである。
これは自分で行えるだけでなく、家族や身近な人が行うこともできるので、私のように「家族が心配だ」と思ったときも使えそうである。
チェック項目は、「財布や鍵など、物を置いた場所がわからなくなることがありますか」など10個。シンプルなので試しやすそうだ。
認知症とは、専門医の診断があって初めて確定されるものであろうが、いきなり医療機関に行くのがためらわれる場合には(それがほとんどだと思うだけに)、こうしたチェックリストが手に入りやすいところにあるのはありがたいと思った。
それにそもそも自分が認知症かもしれないと自覚して、検査に出かけようとする人がはたしてどれくらいいるのだろうか。私が自分の周囲にいる30~60代の働き世代に取材したところ、「親が認知症かもしれないが検査には行ってくれない」という人がほとんどだった。そのため、知らないうちに進行して、「いきなり介護」ということになりやすいのだろう。
なお、チェックリストは、「とうきょう認知症ナビ」で案内している『知って安心認知症』というパンフレット(冊子)にも掲載されており、PDF形式のものを下記URLからDLできるので活用をオススメしたい。『知って安心 認知症』。
検診でも使われている
このチェックリストは都内のいくつかの市区町村で認知症検診を促す事業でも、実際に使われている(東京都福祉局作成「令和5年度における東京都の認知症施策」資料より⇒下記図参照)。
東京都福祉局の認知症施策推進担当部署にお話を伺ったところ、「認知症検診事業を行っている区市町村では、それぞれが対象とする世代の住民に対して、検診案内にチェックリストの入ったパンフレットを同封して送付しています。対象の方はチェックリスト等によりセルフチェックをしていただいた後、検診に参加したい意思があったり、結果によって必要と感じられたりした場合に、検診に参加していただきます。その後、同意を得られた方には、行政から電話連絡等により現在の状況をお伺いしたり、必要な方には専門機関を紹介したりしています」とのことだった。
認知症検診推進事業を実施した区市町村は、令和3年度は、練馬区、文京区、多摩市など14カ所で、令和4年度は22カ所。
検診に参加した人数自体はまだ多いと言えないかもしれないが、こうした取り組みは認知症を早期に発見する上でとても有効だと思った。
(続く)