4月1日、Wedge Infinityで連載中の「未婚大国ニッポン」が、ポプラ社より『未婚当然時代〜シングルたちの“絆”のゆくえ〜』として書籍化されました。著者のにらさわあきこさん(公式HPはこちら)に、改めて著作を通して読者に伝えたいことは何なのか? 伺いました。
(編集部、以下——)にらさわさんは、そもそもどうして“結婚”というテーマを取り上げようと思われたのでしょうか?
にらさわ 以前から“出会い”というものに関心がありました。人と人との出会いというのは、その人の才能や素質に関係なく、誰しもに訪れるもの。ささやかな出会いが鬱屈した日々の中で突如として訪れると、それをきっかけに人は変わることができる。魅力的な人に出会えれば「この人に認められる素敵な自分になりたい!」などという欲求が沸き、日々に活力がでてきます。
そんなところに魅力を感じて、出会いの瞬間やその後の“発展してゆくさま”を人に会ったらまず聞く、という習慣が昔からありました。
—— でも、“出会い”に関心がある中で、なぜ“結婚”という発展的な(笑)問題を取り上げるようになったのでしょうか?
にらさわ テレビ局で勤務していた頃から恋愛ものや結婚ものが好きで、「理系のイケメンを探せ!」みたいなミーハーな企画をよく立てていました(笑)。
私のライターデビューは女性誌からで、そこでは恋愛記事が断然人気だったんですね。その中で、10年ほど前にいわゆる“モテ本”のブームが到来し、女性の恋愛観を取材することになりました。
ただ、いざ話を伺って聞こえてきたのは「モテるよりも結婚したい……」という切実な声でした。それならば結婚に焦点を定めた方がよいのではと思い、結婚をテーマにした書籍を制作すべく取材を開始。一度取材をした方に再び会いに行き、新たな取材対象者を紹介してもらったり、各社の女性編集者さんたちと合コンをしたり(笑)、ちょうど流行り始めていた交流会などに参加するうちに、気が付いたら年間で500人もの方からお話を伺うことになりました。
—— 1年間で500人もの方からお話を聞くなんて……。取材のたびに多くの方のお話を伺っていると思いますが、今回特に印象に残ったエピソードは何でしたか?
にらさわ 個人で仕事をされている方に、「人と人との絆は所詮そのとき感じた一瞬の現象でしかない」と言われたことがありました。
人と人との関係性において、確かなものはないんだと、私自身が日頃から感じていたことを改めて確認した思いがありました。また一方で、“確かである”と確信できることがあるとすれば、自分が一定以上の期間を費やし、自分なりの“何か”を積み重ねてきたという自負があるものではないかとも思うようになりました。