私が本の中で取り上げた方たちは、お見合いに勤しんでいたり、シェアハウスで暮らしていたり、はたまた地方の方と出会うツアーに参加しようとしてみたり……と、傍から見れば楽しそうなことをしています。でもそれと同時に、将来どうなるかわからない不確かさの中で、不安や息苦しさをも感じていました。
彼らに共通することは、“何か”に十分打ち込んでいるにもかかわらず、自分のやっていることを不十分だと感じていて、自信を持って取り組めていないということでした。
どうしてなのかとさらに話を聞いていく中で、たびたび耳にしたのが、「受け入れられていると感じられない」という言葉。どういうことなのかと、突き詰めて話を聞いていくうちに、誰かに毎日少し話を聞いてもらうだけでも、「受け入れられていると感じる」ことができるようだとわかってきたんです。
つまり、不安を感じている人たちの不安を取り除ける要素があるとしたら、自分自身で何かに打ち込んで毎日を暮らすことに加えて、自分以外の誰かとちょっとしたつながりを持つことなのかなとも思いました。
—— なるほど……。それにしても、現代は未婚者が増えているにもかかわらず、結婚することがより一般的であるとみなされています。未婚者が不安を抱えているという点は変わらないようですね。
にらさわ 現実的な“現象”として、未婚はある意味“当然”のこととなりつつあります。
現代社会では女性も仕事をしつつ家庭を築かなければならないため、結婚は先送りにされがちです。また男性も高い収入を得ねばならないという社会的な重圧を背負わされており、収入の低いときに結婚することに抵抗があるので、やはり結婚は先送りされる。一部の男性に女性が集中するという不均衡も存在し、今の日本の結婚制度は考え直す時期に来ているのかなあとも感じます。
未婚やシングルマザーといった結婚に関わる様々な問題は、個人に責任の所在を求めてもなんの解決にもならないし、息苦しさを感じる人が増えるだけだと思います。未婚者の側も、自分自身や結婚そのものに対して高いハードルを課していて、結婚の機会を自分から喪失しているということを感じます。