ビジネス系の交流会はどんな“絆”を作るのか――?
毎週の参加義務があるビジネス会に招かれた私は、参加者たちの結束力に感じ入ったものの、一方で自分のビジネスがうまくいかなくなったときはどうなるかという疑問を持った。
また1日5万円の勉強会では、参加者同士が顔見知りで、親しげな様子に目を見張った。
“家族的な”師弟関係
勉強会を終えた夜。
遅い時間になって、私のパソコンに一通のメールが入った。
勉強会の講師からの「講義のまとめ」と「参考URL」「参加者へのメッセージ」だった。
「困ったらいつでも相談してください。自分の講義を受けられた方は、一生面倒を見ます」といったような内容が、彼自身の温かい言葉でつづられていた。
講師からのメッセージは、その後も定期的に配信されたのだが、個々人のメールアドレスに来るのではなくて、SNSの“勉強会コミュニティ”に配信されるという細やかさで、必要と感じた人が必要なときに見ればいいという押しつけがましさのないスタンスだった。
さらに、目標を達成するためには、「講義で勉強したことを実践するかどうかが大事」ということで、その後は無料のフォローアップセミナーが、3カ月3度に渡りおこなわれ、スケジュールの合う面々は、いくつかの会に参加した。
私もさらに2回参加して、顔見知りになった人たちと何度か時間を共有しあった。
お金が介在することの意味
この会に参加するまでは、「お金が介在する関係は、利害が生まれやすいので、人と人を結び付けるのは難しいのではないか」とも思っていた。
実際、不特定の社会人の男女に、「ビジネス勉強会や異業種交流会についてどう思うか?」とインタビューして回ったところ、「支払いの生じない参加者だけの勉強会なら、絆は深まる気がする」とか、「サークルや無料の勉強会の方が、利害がなくていい」という声がやはり多く聞かれた。
しかし、今回紹介した以外にもいくつかのビジネス交流会や勉強会に参加して私は、「お金を払うからこそ生まれる絆もある」ことに気づかされた。
お金が介在するからこそ、必死になったり、強制力が生まれることはある。すると強制力が生まれるからこそ、共有する時間は必然的に長くなり、結果的に参加者同士の関係が深まりやすい……という側面がまずある。
波及する力を持っている
もう一つは、少しロマンチックな話になるのだが、これらはそもそもビジネスを目的とした交流会や勉強会なので、ビジネスの本質を考えれば、お金が介在するからこそ「波及する可能性がある」と、参加者自身が無意識にでも考えているかもしれないと思ったのだ。
つまり、「ビジネスとは、結局は世のため人のためになるものを生み出すものだ」と私は考えているので、そういうような目的で交流会や勉強会に参加する人が、よい具合に化学反応していけば、世の中のためになる“なんらかの価値”が生まれ、その価値が広がっていくまでには、お金の存在が役立つという意味だ。ゆえに、参加者は「真剣にビジネスをしたい人ほどお金を払うことに躊躇が少ない」……とでもいえばいいだろうか。