家族に近づく“過程”
彼は少し考えた後に、
「家族みたいかというと、根本的には異なると思います。家族には見返りを求めませんから」
と慎重に付け加えた。
メンバーについて、「見返りを求めず、尽くしたい」と言ったすぐ後で、「家族には見返りを求めないから、メンバーは家族と違う」と答えた。
つまり、メンバーに彼は「見返りを求める」気持ちがあるのだ。一件、矛盾しているように思えるが、それが真実なのだろうと思った。
よくいえば、家族に向かう“過程”の間柄……そう言うと、美しくし過ぎだろうか?
時間とエネルギーを差し出す
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未婚者にとって、家族とは、“与えられた繋がり”だ。そして、家族以外の人間関係は、“自分で作りあげるもの”だ。作るものだから、最初から“完璧”というのはありえない。
しかし完璧を目指してエネルギーを注いでいった先に、「完璧になる可能性がある」というのは、“希望”になりはしないだろうか。
香取さんが異業種交流会に参加し始めて、およそ4年。その間の、会員たちの“継続率”は8割強。会員たちは、ほかの会員のために、自分の時間とエネルギーを今もどこかで費やしている。
⇒第10回に続く。
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