お金が介在することの意味について、勉強会の講師にも聞いてみた。
“利他”だから波及する
「お金については、“価値”を提供しているのだから、価値を感じてくれる人からは授かっていいと判断しています。そして、お金を払った方のほうが、本気度・質・行動力などすべてにおいて高いです。たとえば、自分は経営者に対して、2日間でおよそ30万円の講演をすることがあります。一方、同様な内容で、無料で2時間セミナーをすることもある。先の経営者たちにとっては、『えっ?』と思えるかもしれませんが……。
無料セミナーに来る人は、真剣度・本気度・行動力、そして参加者自身の“質”も、経営者たちよりも低いです。でも、ここを無視するわけにはいけません。彼らの中には、無料だからとコンテンツ力を評価してくれなかったり、眠ったりする人もいます。でも、2割くらいの人たちが、感動して、行動をおこしてくれたり、ほかの人に親切にするなどの“貢献行為”をおこなって、それが連鎖反応を起こしていったら、10名から100名、1000名とどんどん広がっていきますよね。
もちろん、全員が全員、そうなるとは思ってませんけど、2割の人生を変えられて、そこから循環して、連鎖していくのならば、自分はそれだけで幸せです」
授かったお金が広がりを生む
彼は、ビジネスを「利他のためにおこなって、利他のためにお金を授かって、さらに利他のためにビジネスを“創造する”のだ」と言った。
経営者向けセミナーの評価は、10点満点で10点をつける人が8割を超え、平均点も8点以上という。個人コンサルティングは2時間で10万円だが、引き受けられないくらいの申込みが来ているので、断り続けている。そんな彼が、一方では無料セミナーをおこなう。
「無料セミナーで失うものは自分の時間だけですから、やっていいと思っていますし、今後はもっとやっていきたいと思ってます」
では、最初に取材した異業種交流会のメンバーは金銭が絡む交流の事をどう考えているのだろうか。
朝会に参加させていただいた6月から半年が経過した12月までの間に、私が一番驚かされたのは、SNSで繋がった数人が、交流会のメンバーをとても大切にしていたことだ。
日常的にお互いをフォロー
香取さんのタイムラインでは、書き込みに占める“交流会”関係の割合がとても多く、毎週の会に参加する以外でも、他の会員のイベントがあれば、会員同士で連れ立って参加したり、メンバーの経営する飲食店や生花店を積極的に使ったりしていた。
彼の仕事を知る私からすると、その時間のかけ方は、「どうすれば捻出できるのか」と思うほどで、会合に参加した後に彼は仕事場に戻り、徹夜仕事をすることも多々あった。
ほかの会員たちも同様で、SNS上でもお互いをフォローし合い、「いいね」やコメントをつけあっていた。私が彼らと知り合った6月から比べても、結束力は強まっていると感じられた。
現実にはどうなのだろうか。
改めて、彼らの交流会に出席し、会員たちに聞いてみた。
まずは、香取さんからだ。
「そうですね、交流会に参加してからは、仕事の幅が広がりました。それに、仕事抜きでもつき合える友人たちが増えたので、参加する前よりプライベートも充実した実感がありますね。
ビジネスの場合、特にこの会は、『与えるものは与える』という考えがベースになっているので、最初は見返りを求めずに、メンバーに奉仕します。ビジネスは信頼あってのものだと思いますから、僕が信頼関係を構築するために心がけているのは、いつもメンバーのビジネスの発展を意識した行動を取ることです」