2024年11月21日(木)

霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生を

2024年1月25日

 すぐに幹部職員を集めて、商店街の店舗への2カ月分のテナント料の支給と、ひとり親家庭の子どもに対して現金を支給すべく、予算組みを指示した。そのまま議会にも行って「いま立ち上がらなければ政治の意味がない。私のことが嫌いでも、市民のために臨時議会を立ち上げて予算審議をしてほしい」と頼んだ。議会も、すぐに臨時議会を立ち上げてくれて、2週間で市民の手元にお金を届けることができた。

 市民の声は大切である。だからといって、市役所に来る人たちの声ばかりを聞いていてはいけない。国会議員で言うならば、議員会館に訪れる業界団体などの声は、口利きや見返りを求めるようなものが多くて真の国民の声とはいいがたい。

 本当に耳を傾けるべきはノイジーマイノリティーでなく、市役所に来ないような「サイレントマジョリティー」の声である。その声は、職場にいるだけでは聞こえてこない。現場に足を運ぶことだ。

成功事例を学び
外れていれば「方針転換」

 明石市の政策は周囲から〝よく当たる〟と言われるが、私が全部考えたというわけではない。例えば明石市の小中学校の女子トイレには無料で生理用ナプキンを置いている。全国初の取り組みだが、これは海外事例を学んだ職員からの提案であった。

 成功事例は積極的に学ぶよう心掛けていた。意識していたことは2つある。1つは国内だけでなく、地球儀全体を俯瞰するような形で、成功事例を参考にしたこと。そして、それを「明石市」に置き換えてアレンジすることだ。

 もう1点は、ニーズに合わせること。要は、テナント料を払えなかったらテナント料を払う、ひとり親家庭の子どもが困っていたら、子どもにお金を渡すという、シンプルで簡単な話だ。

 ただ、良かれと思ってやった政策も、すべてが当たるとは限らない。もし、外れているとわかったら、自分のメンツやこだわりは捨て、現実に合わせて変えていくことが大事だ。まさに「方針転換」である。そして、外れたときには率直に謝罪する、あるいは責任を取るのが政治家の仕事だ。


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