2024年12月19日(木)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2013年10月23日

 製造業雇用も堅調に回復している。しかも、リーマンショック後、製造業雇用には円ドル相場が結構影響している。もっとも、円ドル相場はすぐに製造業雇用に影響するわけではなく、5カ月遅れで製造業雇用に最も影響を与えている。図表2で製造業雇用と円ドル相場との間にかなりの相関があることが見て取れるが、円ドル相場は5カ月先行させて表示している。

 このことは、昨年末から今年5月まで一貫して進んだ円安進行が製造業雇用に与えるプラスの効果はまだ出尽くしていないということでもある。円ドル相場と製造業雇用との相関から見れば、製造業雇用は年末にかけてさらに50万人あまり増加する試算となる。そして、今後も雇用が増加する可能性が強いということは、残業時間と時間外賃金がさらに増えていく可能性が強いということでもある。

 雇用環境の改善は、労働需給を徐々にひっ迫する方向に動かしている。労働の需要と供給が均衡する失業率水準を均衡失業率という。これは、需給ひっ迫が起こらず、賃金が高まらないギリギリの失業率と言い換えることもできる。この均衡失業率を計算すると、現在3.8%程度となる(図表3)。

 リーマンショック後一時5.5%(09/7)にまで悪化した失業率は現在4.1%まで改善している。均衡失業率まで僅か0.3%の水準だ。ここまで失業率が均衡失業率に近づくのは、リーマンショック前の景気拡大がピークを迎えていた2006年から2007年にかけて以来だ。


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