2024年12月8日(日)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2013年10月23日

 2014年4月からの消費税率引き上げが決まり、引き上げに伴う景気落ち込みを防ぐ5兆円規模の経済対策の実施も発表された。

 その経済対策の主要な柱が企業減税だが、野党のみならず与党の一部からも消費税率引き上げで国民負担が増すのに法人負担が軽減されるのはおかしいとの声が上がっている。おのずと、企業減税の焦点は、経済全体に寄与することに加えて、とりわけ賃金上昇につながるかに掛かってきている。

 首相も「復興特別法人税の廃止が賃金上昇につながっていくことを踏まえた上で、12月中に結論を得ることとしたい」と述べ、さらには21日の衆議院予算委員会において、「先の政労使協議で、米倉弘昌経団連会長やトヨタの豊田章男社長から賃上げに前向きな趣旨の発言があった」と述べているが、本稿では最近の経済指標から企業が賃上げに動く可能性は強いのか見てみたい。

労働需給の均衡点が近づいている

 最近の賃金・労働関係の統計指標でまず目に付くのは、残業時間の推移だ。最近、全産業、製造業ともに前年同月比で増加に転じている(図表1)。とくに、製造業では12年8月以来の増加となっていて、今年8月には前年同月比で4.3%増と増加幅を拡大させている。


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