2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月29日

 もっとも、急成長するアフリカの消費者層に近づこうとしているのは中国企業だけではない。アフリカ成長機会法(アフリカ基盤の企業に米国市場への優先アクセスを与える)なども大きな魅力となって、例えば、ドイツの自動車メーカーは南アフリカ、米国の繊維企業はエチオピア、韓国のパソコンメーカーと日本のオートバイメーカーはケニアというように、多くの国の企業がアフリカに進出している、と指摘しています。

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 近年の中国のアフリカ進出は目覚ましく、独壇場のごとき感がありました。それだけに、中国経済が減速すれば、直ちに一番大きい影響を受けるのはアフリカではないかという懸念があるのに対して、この論説は、それほどの影響はなく、もしあっても現存の投資プロジェクトが終わってからであろう、との判断を示しています。

 アフリカ経済は成長して、最早、中国の経済成長の影響だけに左右されるような状況ではない、と言っている論説ですが、裏を返せば、現在のアフリカにおいて中国経済の減退に多大の危惧が持たれている状況があるからこそ、こういう論説が出てくるのでしょう。

 そして、それが、安倍政権がアフリカ外交を始めるにあたっての状況であり、日本に対する期待の背景でもあります。一時期、アフリカ進出で中国に後れを取るな、といった、いささか短絡的な論調が目立ちましたが、日本にとって、森元首相が本格的に取り組み始めて以来、アフリカは大きなチャンスであり続けていると言ってよいでしょう。アフリカにとっても、日本は頼りとなる国であり、日本経済が回復傾向にあるとなれば、なおさらです。

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