2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月6日

 このフィナンシャル・タイムズ紙の記事が出た後、ハンガリーのオルバン首相は、1月24日、Xに「ハンガリー政府はスウェーデンのNATO加盟を支持する」と投稿し、議会に速やかに批准手続きを終えるように要請したと述べた。まだ若干の手続きは残っているが、スウェーデンのNATO加盟が実現することは確実になった。

 ロシアのプーチン大統領は、NATOの東方拡大、具体的にはウクライナのNATO加盟の恐れをウクライナ戦争の一因としていたが、ウクライナ戦争の結果、NATOの北方拡大を引き起こした結果となった。いわゆる北欧バランス(ノルウェーはNATO加盟国、スウェーデンは中立国、フィンランドはロシアに配慮する国)は消滅し、スウェーデンもフィンランドもNATO加盟国になる。これは、相当に意義深い情勢の変化である。

 第一に、バルト海はNATO加盟国で取り囲まれることになった。バルト海はロシアにとっても重要なシーレーン(海洋航路)であるが、有事の際には、その利用が制約されることになろう。特に、スウェーデンは強力な潜水艦部隊を有している。ロシアの飛び地カリーニングラードはロシアにとり防衛が困難な地域にさえなりかねない。

 第二に、バルト3国の対ロシア安全保障は格段に強化されることになろう。リトアニアの大統領の発言がこの記事でも引用されているが、バルト諸国はスウェーデンのNATO加盟を強く歓迎している。

 第三に、NATOの北方拡大は温暖化の中で期待されている北極航路についての西側の関与の道を開くことにつながりうる。

ごね得とはならないトルコ

 プーチンのウクライナ戦争が引き起こしたこの状況変化だけでも、ロシアの国益を害することになったと思われる。

 エルドアンはスウェーデン加盟問題でごね得をしたように思われるが、NATO加盟国にはトルコへの不信感が生まれ、長期的には、トルコには今後それがマイナスの影響を与えかねないと思われる。

 いずれにせよ、フィンランド、スウェーデンのNATO加盟は、日本としても歓迎すべきであると思われる。

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