ウォールストリート・ジャーナルが1月7日付けで‘Putin Sends Nukes to Belarus’(プーチンがベラルーシに核を配備)と題する社説を掲載している。概要は次の通り。
ベラルーシのルカシェンコ大統領が先月(2023年12月)明らかにしたところによれば、ロシアはベラルーシへの戦術核兵器の配備を完了した。
米国の政府関係者はこの核の移転に関する情報につき口を閉ざしており、ルカシェンコによるブラフの可能性もある。しかし、サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は、昨年6月にプーチン大統領は「ベラルーシへの戦術核兵器の配備に向けた措置」を取り始めたと述べており、同7月に国防情報局(DIA)はプーチンのベラルーシへの核配備を「疑う理由はない」と述べた旨CNNは報じている。
ロシアがウクライナへの全面侵略を開始して間もなく、ベラルーシは非核を定めた憲法第18条の規定を削除する憲法改正を行った。ベラルーシによれば戦術核兵器を扱うための訓練がロシアによって行われた。2023年夏、ルカシェンコは、ロシアによる核兵器の移転が開始されており、ベラルーシのスホイ機に核兵器が搭載された、と述べた。
米国科学者連盟(FAS)の分析によれば、リトアニア国境から40キロメートルしか離れておらずベラルーシ空軍がSu-25攻撃機を配備している唯一の航空団が所在するリダ空軍基地が、ロシアによる新たな「核共有」の最もありそうな候補地である。
ルカシェンコによる核配備完了の発言は、ロシアが西側への脅しを強めている中でなされた。プーチンは最近、北大西洋条約機構(NATO)がフィンランドを同盟に「引きずり込んだ」ので、フィンランドとの間で、問題が生ずるだろうと述べた。その後、ロシアは、フィンランド国境において、移民を武器として送り込んだ。
11月には、ロシアの安全保障会議のメドベージェフ副議長は、ポーランドは「敵」であり、国家を失うこととなりかねないと述べた。ロシアはNATO領域に近いウクライナへの攻撃を継続している。
ロシアはベラルーシの軍事的統合を進めている。ロシアはS-400地対空ミサイル・システム、イスカンデル短距離ミサイルをベラルーシに配備している。プーチンによる挑発的なベラルーシへの核の移転は、ウクライナにおいて何が問われているかを再度明らかにするものである。
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上記の社説は、ベラルーシのルカシェンコ大統領が昨年12月26日に配備完了を記者会見で述べたことを踏まえて、ウクライナ侵略後のロシアの動きの一つであるベラルーシへの核配備について述べたものである。