米国に蔓延する消極的対外関与姿勢
キャンベルがインド太平洋調整官から昇進し、その後任が置かれない、と言うことが懸念を生むのは、一つのポジションの問題では無く、米国の対外関与姿勢自体に疑問が投げかけられているからだろう。そして、そんな中で、われわれはトランプ2.0を迎えようとしている。
トランプのような政治家が生まれる背景に、既述の米国の対外関与姿勢の変化があるということだ。要は、トランプが消極的対外関与姿勢を生んだのではなく、米国社会に蔓延する消極的対外関与姿勢がトランプを生んだということだ。
ただ、キャンベルの後任が置かれないことをそれ程騒ぐべきではない。政権の政策形成への影響力については、国務副長官の方がインド太平洋調整官より相当上であることは言うまでもなく、また、国務副長官は「その他の政策課題」があると言っても、ウクライナやガザは国務長官自身が動いており国務副長官が直接関与すべき最大課題は、やはり対アジア・対中政策だろう。