たまたま青がその本を拾って、翌日大学を訪れて、すずみに返す。自分が古書店の家族であることを告げて、連絡先を書いたメモを渡す。
すずみは古書に興味があり、古書店で働くことが夢でもあった。
名前も知らないままに、青はすずみと下町の散歩をしながらお互いに魅かれ合う。ふたりで並んで買った、たい焼き屋で、3万人目の記念の客となり、記念撮影となる。青はその写真を胸のポケットに入れるようになる。
再会を約束して、そのたい焼屋の近くの約束の場所に、すずみは現れない。
携帯の電話番号も名前も知らない青は、とうとう夜まで待つ。しかしながら、あきらめきれない。
徐々に明らかになる大家族の複雑な事情
大森のシナリオは、徐々に大家族の複雑な事情を明らかにしていく。藍子と紺、青は、異母姉弟であった。藍子と紺は、父親の我南人の正妻の子であるが、青はそうではなく、乳児のころに我南人が家に連れてきた。青の母が誰なのか、それも第5回(11月9日)以降で明らかになっていくのだろう。
藍子もまた秘密を隠している。古書店のなかで営業しているカフェを手伝いながら、藍子は印象派のようなタッチの絵を描いている。シングルマザーで、娘の花陽(かよ・尾澤ルナ)の父親を家族にも明かしていない。
すずみの正体が明らかになる第4回は、そうした初回からのいくつかの謎が解き明かされた。
すずみの父親は、日本文学を専攻する大学教授だった。そして、その教え子が藍子であり、結ばれて生まれたのが、娘の花陽であった。
すずみは、父の死の直前に妹がいることを告げられる。藍子は憎しみの対象であった。「東京バンドワゴン」の古書店に住み込むようになったのは、父が母に贈った研究書を探すことであった。その本は父の出世作であり、母に捧げる言葉が自筆で書かれていた。
古書を保存している蔵が荒らされる。藍子が描いていた絵が、切り裂かれる。
すずみが夜に部屋のなかで、すすり泣くのをふすま越しに青が聞く。