テレビは「今」を描くメディア
ドラマの謎解きは、店を手伝っている紺が中心となっているが、ときに父親の我南人が、そして青が加わる。
すずみが通う大学と偽名に似た人物をたどって、家族たちは、すずみが何者であるか、そして家のなかで起きた小さな事件の犯人がすずみであることを突き止める。
大家族が集う居間で、すずみを囲んで、ドラマはこの回の結末に向かう。
「すいませんでした」と頭を下げるすずみに、藍子が本を差し出す。「わたしが先生のところから盗んだんです。ごめんなさい」と。
涙を流しながら、古書店を去ったすずみを青が追いかけて、連れ戻して、家族にあらためて紹介する。
「僕の恋人の槙野すずみさんです。これからもよろしく」
我南人がいう。
「Loveだねぇ」
この言葉は、ドラマの毎回の締めとなる決め台詞である。
そして、その玉置が歌うエンディングとなる。
「東京バンドワゴン」が描く大家族は、過去形ではなく、現在である。テレビは「今」を描くメディアであり、そうであってこそ、人々の心を打つ。東日本大震災後、家族のありかたと周囲とのつながりについて、人々はあらためて考えている。 (敬称略)
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