2024年5月13日(月)

21世紀の安全保障論

2024年3月4日

 防衛省は14年7月、オスプレイの佐賀空港への配備を佐賀県に打診。18年8月に佐賀県知事が受け入れを表明したのに続き、20年7月から千葉・木更津駐屯地にオスプレイの暫定配備を開始、すでに14機が配備されている。

 この間、同空港に隣接する有明海でノリ養殖を営む漁業者の間で配備をめぐって賛否が割れる事態が続いていたが、23年5月、新駐屯地用地の大半を所有する佐賀県有明海漁協が同省への売却を決め、翌6月から同空港の北西に広がる33ヘクタールの敷地で、大型の格納庫や庁舎、官舎などの建設が進められている。木更津駐屯地に暫定配備できるのは25年7月までであり、それまでにオスプレイの移駐を終わらせなければならず、工事は24時間態勢で続けられている。

大型格納庫の建設が進む陸自新駐屯地

 有明海に面した佐賀空港は、住宅などが建ち並ぶ市街地から離れていることに加え、水陸機動団のある佐世保市の相浦駐屯地まで約60キロと近く、オスプレイが配備されれば、約1000キロ離れた尖閣諸島であっても2~3時間ほどで水機団の緊急展開が可能となる。

 最終的に陸自は、同空港に17機のオスプレイを配備し、運用する計画だ。だが配備、運用に向けての課題も山積している。

配備してよかったと誰もが実感する広報を急げ

 その一つは、オスプレイ配備のメリットを、どれだけ地元に還元できるかだ。配備を巡って賛否が割れたように、今年に入っても、1月27日には30人ほどの反対派が建設現場の入り口に座り込み、「佐賀の空にオスプレイはいらない」などと気勢をあげ、「今後は人数や頻度を増やし、工事をやめさせたい」とする市民団体代表の主張が報じられている。

 筆者が佐賀空港に着いた2月20日には、参議院外交防衛委員会のメンバーが建設中の新駐屯地などを視察、それに合わせて反対派がデモを実施するといった情報が伝わり、工事関係者らが何度も周囲を見回るといった場面があった。そんな工事関係者の口からも「ここに配備する目的は理解しているつもりだが、いったい自分たちにはどんな恩恵があるのだろうか」といった声も聞こえてくる。

新駐屯地の建設現場を視察する参院外交防衛委員会の委員たち

 16年の熊本地震で、在日米軍は孤立した南阿蘇村にオスプレイを派遣、食料や水など生活物資の輸送を実施している。オスプレイのメリットは長い滑走路が不要で、長距離を高速で移動できることだ。


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