2024年4月15日(月)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年3月12日

 戦時中は、一時的に魚を獲る船も人も減少します。魚は産卵する機会を与えられ、小さな魚は大きくなるチャンスを得ます。そして、大きくなった親の魚が卵を産んで、増えていったのです。

 第二次世界大戦後に、動物性タンパク質を補うため、日本の漁船は近海だけでなく、世界中の海に展開して食糧供給で大きな貢献をしてきました。そして次々と漁船や運搬船などが建造され、北海道、東北、九州他から漁業従事者が急増しました。

 77年に200海里漁業専管水域という、漁業に関する新しい世界のルールができなければ、漁業は短期的に発展した後、世界中の海から魚が消えて行ったことでしょう。

 その後、日本では2022年の水揚げ量が386 万トンと、比較できる1956年以降で最低になりました。魚がいなくなった結果を基に、水温が高い低い、水がきれいになりすぎた、黒潮大蛇行、地震の前兆など全く影響がないとは言いませんが、矛盾した理由が挙げられています。しかしながら一番大きな影響力を与えたのは他ならぬ人間の力なのです。

ヒラメに見る震災の影響とその後

 多少の凸凹を繰り返しながら右肩下がりに漁獲量が減る傾向が再び止まるきっかけが起こりました。2011年に起きた東日本大震災です。放射性物質の影響で、三陸沖に一時的な禁漁区が出来上がり、また漁業者に補助金が支払われ漁獲圧力が大きく減少しました。

 皮肉にも、マサバ、マダラ、ヒラメ、イカナゴ他の魚種の資源が急回復。しかしながら、その多くは一時的に回復しただけで 再び 減少を始めています。その一例としてヒラメを挙げます。

ヒラメは震災後に資源急回復している(太平洋北部系群の資源推移グラフ、水産研究・教育機構) 写真を拡大

 上のグラフは、震災前後のヒラメの資源量(太平洋北部系群)を表しています。グラフには赤い線が二本引いてあります。下の線が低位と中位、上が高位と中位の資源量の境目です。しかしながら、11年を境に急激に資源量は増えました。

 2本の線は意味をなしていないことが分かります。それだけ、震災前はヒラメ資源に圧力をかけすぎてしまい、回復する機会を奪ってきたことが推測されます。

 資源が急回復したヒラメ資源ですが、このままでは再び減少傾向に向かうことは目に見えています。震災後、カレイのようなヒラメを目にするようになりました。

震災後に漁獲されたカレイのような小さなヒラメ。一枚300円で売られていた(筆者提供) 写真を拡大

 ヒラメは成長すると8キログラム(kg)にも10kgにもなる大型魚です。それを1kgにも満たない未成魚を獲ってしまえば、減りだすのは必然です。

7kgのヒラメ。 ヒラメはカレイと異なり大型になる(筆者提供) 写真を拡大

 ヒラメには漁獲枠さえありません。獲れるからといって、小さすぎて最も美味しいエンガワの部分さえないヒラメを獲るべきではないのです。

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