写真7は、その近隣地で落葉広葉樹が育っているのがわかる。樹高は植栽されたスギと変わらない。
植栽地でも当然このように落葉樹も更新してくるが、スギの成長の邪魔になるので下刈や除伐行って除去してしまう。本来自然に生えてくる植生をそのまま育ててやれば、下刈・除伐などという余計な労力と経費は節約できるのだ。
スギの方が品質がよいと思うかもしれないが、現在はスギよりも薪(まき)にする広葉樹材の方がよほど価格が高い。50年後いや10年後でさえ、どんな材木が有利かなど予見することはできない。品質も定かでない少花粉スギのモノカルチャーよりも多様性のある天然更新の方が不採算のリスクを分散できるし、何より保育費用がかからないのがいい。
シカの脅威
写真8を見ると、皆伐再造林地の右上から中央にかけての3本の尾根沿いと左の伐採区界に白く線状に柵が設置されているのがわかる。これがシカの侵入を防ぎ、再造林されたスギの苗木を食害から防ぐための必須アイテムである。
今や日本中ほとんどのところで獣害防止柵・ネットは必須のアイテムである。価格は、施工費込みで金属製なら300万円/ha、合成樹脂のネットなら70万~150万円で、製品や施工地の環境によって差が大きい。設置後のメンテナンスも必須で、重い負担となる。
また、天然更新においても更新樹を食害されるおそれがあって、皆伐後シカ防護柵の設置が必要となる。
このように再造林といっても、造林にかかる直接費用だけでなく、シカ柵や治山費まで含めれば相当な額となってしまい、実質上これらはほとんど国や地方公共団体が丸抱えすることになる。
花粉発生源対策を行うにあたって、その効果、付帯施設を含めた費用、国土保全上のリスクなど今一度総合的に比較衡量して、安易な皆伐を抑制すべきと考える。