日銀のマイナス金利の解除後、世界の金融マーケットはどのように反応したのか。日経平均は21日と22日の両日、4万円を超えた。
米連邦準備理事会(FRB)は20日に開いた米連邦公開市場委員会(FMOC)で市場の予想通りに金利を据え置いた。年3回の利下げの予想も維持した。
NHK総合の「ニュース・ウォッチ9」は21日の番組のトップに、日経平均の4万円超えと米株の株価の上昇を取り上げた。FRBの判断が予想通りだったのと、日本のマイナス金利の解除がマーケットに好感されたとした。
さらに、日本の家計における金融資産が23年12月に2141兆円と史上最高になったことを報道するのだった。株式が前年よりも29.2%増えて276兆円、投資信託も22.4%増の106兆円でいずれも史上最高だった。
メディアはマイナス金利解除とアベノミクスの再評価について、レビューするのはこれからである。朝夕のニュースの中心にドジャーズの大谷翔平選手の活躍と、その後の通訳の水原一平氏の賭博問題による球団からの解雇になっている状態は、健全ではない。NHKスペシャルなどで掘り下げた報道を期待したい。
バブルははじけてしまうのか
共同通信電によると、東京の都心のマンションの平均価格が1億円を超えたばかりではなく、都心では中古も1億円を超えたという。日銀の金融機関の貸出先別の金額をみると、不動産向けが約83兆円。これに対して、企業の設備投資向けは約15兆1000億円である。
土地が上がり、金融機関の不動産向け融資が増え、株価が上昇する。……そして「バブルではない」という言説が当然とされるとき、バブルははじける。
バブルの崩壊からITバブル、リーマンショックを経験した筆者の歴史認識である。日銀が2000年に利上げに踏み切ったときに、当時審議員だった植田和男総裁は利上げに反対した。景気が底堅いとはいえないという判断だった。
その植田総裁が今回はマイナス金利政策を解除したのだから、大丈夫であるというメディアの評もある。しかし、金融危機は誰も予測できない。バブルが崩壊したとき、それに気づくのである。