2024年7月16日(火)

モノ語り。

2024年4月6日

 「自然派きくち村」で扱うのは基本的には、有機、自然栽培されたものです。驚きなのは「生産者の〝言い値〟で全量を買い取る」ということです。商品開発力、売る力という「商人力」があるからこそできることで、私が最も尊敬する部分です。言い値で買い取ってくれるからこそ、生産者側も「生産コストがかかっていいから良いものをつくる」ことができるというわけです。

 「〝畑からつくる小売店〟と言っているのですが、単に材料や品物を仕入れるのではなく、生産者と一緒につくっていくことを大事にしています」

自然栽培の大豆と小麦、塩だけで造った醤油

天然醸造醤油「なま」 自然栽培の大豆と小麦、塩だけで造られた天然醸造醤油「なま」。細部までのこだわりがすごい。

 生産者と上京し消費者と交流したり、逆に「菊池に行こう百姓三昧」という農業体験ツアーも企画するなど、よっちゃんの活躍の幅も広がっています。一昨年には、よっちゃんのお母さんの実家にあった納屋をリノベーションして「GOYADO」という民泊施設も開業させました。あの廃屋を「こんなに?」と、驚かされました。

 さて、前置きが長くなりましたが、今回紹介するお土産は、醤油です。

 「自然栽培の大豆と小麦、塩だけで造った醤油です。昔ながらの製法を大事にするために木桶で造れる蔵元を探しました。ただ、蔵元にとってもはじめてのことで、上手くいくかどうかわかりませんでした」

 出荷まで3年をかけ、天然醸造醤油「なま」として19年に販売を開始しました。以来、大人気で、即座に品切れになるほどです。香り立ちの良いすっきりとした味わいの醤油です。

 自然栽培の大豆と小麦、塩だけで造られた天然醸造醤油「なま」。細部までのこだわりがすごい。

渡辺商店「自然派きくち村」
熊本県菊池市大字隈府58-3 0968-25-2306
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Wedge 2024年4月号より
小さくても生きられる 社会をつくる
小さくても生きられる 社会をつくる

全都道府県で人口が減少――。昨年7月の総務省による発表に衝撃が走った。特に地方においては、さらなる人口減少・高齢化は避けられない。高度経済成長期から半世紀。人口減少や財政難、激甚化する災害などに直面する令和において、さまざまな分野の「昭和型」システムを維持し続けることはもはや限界である。では、「令和型」にふさわしいあり方とは何か――。そのヒントを探るべく、小誌取材班は岩手、神奈川、岐阜、三重、滋賀、島根、熊本の7県を訪ね、先駆者たちの取り組みを取材し、「小さくても生きられる社会」を実現するにはどのようなことが必要なのかを探った。


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