2024年4月15日(月)

Wedge REPORT

2024年4月3日

 今、筆者の家に泊まっているニュージーランドの若者2人に聞いたところ、桜は日本のイメージとリンクしているが、一番思い浮かぶのはBRAVE BLOSSOMS(ブレイブ・ブロッサムズ)、つまりラグビー日本代表の愛称だという。ラグビーが国技の国は、日本と桜の関係もラグビーに紐づいているのだ。

 日本でラグビーワールドカップを開催した時、訪日客は一人あたり68万6117円を消費し、平均的な訪日観光客の約4~5倍だったことを記憶している方もいると思う。ラグビーフアンは実は高額所得層が多いのである。このブレイブ・ブロッサムズのイメージを活用できないか考えてはどうだろうか?

 中国に対しては、日本が桜の文化を輸出したといえよう。中国にも花を愛でる習慣は古くからあったが、春の花見という行事として定着してきたのは最近のことであり、日本の花見に影響を受けている。

 中国は日本を通じて桜の意味を再発見し、花見という行事が定着してきた。ソメイヨシノは、江戸末期から明治初期に東京の染井村(現在の豊島区駒込周辺)の植木職人らの交配によって生み出された日本産の栽培品種の桜と言われており、中国では日本でいう八重桜が主流だった。

 大木が満艦飾の花を付け、春風とともに舞い散っていくソメイヨシノの魅力は、その状況を体験して初めて実感できる。中国桜産業協会会長職で広州天適集団董事長(会長に相当)の何宗儒 氏は1996年に日本を訪問して桜の美しさに心を奪われ、桜の普及をビジネスとする新たな会社を創業した。インバウンドを対象に花見ビジネスを企画する際には、こうした各国の事情も知っておくとよいだろう。

訪日外国人を呼ぶための課題

 また、この桜と花見において、今後は地元で花見を愛好してきた人々とインバウンド観光客をどのように扱うかを、オーバーツーリズムの観点から再考する必要がある。花見は多くの日本人にとって特別なイベントであるが故に、そこに異質な人が異質な形で入ってくるとインバウンド観光客にネガティブな感情を持つ人が増えるリスクがある。

 花見は地域住民のイベントとして発達しており、そこにインバウンド観光客が多数来た場合、何らかの負荷が地域住民にかかる。オーバーツーリズムへの対応策の一つは、観光客から得られるベネフィットを地域住民に還元することである。もしこの時期に通常より多くの収入を得た飲食店等の事業者は近辺の住人に、例えば花見後(もしくは翌年の花見時期の直前)にその感謝を伝える活動をするとよいだろう。

 花見の情報発信も改善余地は大であろう。花見スポットに関する日本からの多言語の発信は、その対象スポットも内容もかなり限られている。インバウンド客が花見情報を探そうとしても上手く探せないので、海外のインスタグラム等の情報に頼り勝ちになる。

 その場合、現時点では特定のスポットに偏りがちになるのである。東京、鎌倉、箱根等の中でも一部の花見スポットはインバウンド客で混雑しているが、そのすぐそばの花見スポットにはほとんどインバウンド客がいないという状態になる。

 別の観点で語ると、花見は新たなコミュニケーションを広げるチャンスでもある。日常生活の中でインバウンド観光客とコミュニケーションを取ることは多くの人にとって簡単ではないだろう。しかし、花見のような場では、言語の壁も越えて見知らぬ海外の人とのコミュニケーションはより容易になる。それはインバウンド観光客と地元の日本人たちへの事前の説明によって可能になってくるのではないだろうか?


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