2024年5月17日(金)

霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生を

2024年4月5日

限られた人員で時代に応じた仕事を

 監査というと堅いイメージがあるが、言うなれば年に1度の「健康診断」のようなもので、それを通じて事業者の健全な経営を促すことがその目的となる。

車両の重量も確認している

 しかし、業務の特性上、事業者からはまるで「敵」のように見なされることも珍しくないうえ、先述した苦情申告者の期待に応えられなかった際には「『あなたたちは税金でメシを食べているのではないか』などと、心無い言葉を突き付けられることもあった」と團村支局長は話す。

 しかし、「たとえ文句を言われようと、私たちの仕事を通じて1件でも事故を減らすことができたら本望だ。『国民の安心・安全に寄与する』という使命感を持って働いている」と、心の内を明かしてくれた。

 時代の要請に応じて、運輸局の業務は年々膨らんでいる。トラックGメン創設のほか、中古車販売大手ビッグモーター(東京都多摩市)の過剰請求違反に関する立ち入り検査、ライドシェア問題や地域公共交通の再構築など、社会課題に応じて国が講じた政策を執行するのは出先機関の役割である。関東運輸局の勝山潔局長は「われわれの仕事は時代の要請に応じて増えてきている。人員増が厳しい中、限られた人数で対応していかなければならない」と話す。

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Wedge 2024年2月号より
霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なこと
霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なこと

かつては「エリート」の象徴だった霞が関の官僚はいまや「ブラック」の象徴になってしまった。官僚たちが疲弊し、本来の能力を発揮できなければ、日本の行政機能は低下し、内政・外交にも大きな影響が出る。霞が関の危機は官僚だけが変われば克服できるものではない。政治家も国民も当事者だ。激動の時代、官僚制再生に必要な処方箋を示そう。


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