ゆっくり歩くよりジョギング程度に走ろう
エクササイズのなかでも手軽なウォーキングやジョギングでは、脳にどのような変化が表れるのでしょうか。
図1 歩く速さによる脳の活動の変化
図1は、04年に私が行った実験結果です。ウォーキングマシンで時速3㎞(軽いウォーキング)、5㎞(早歩き)、9㎞(ジョギング)で1週間続けて運動した人の脳を調べたところ、3㎞では運動野の4野が働き、5㎞になると4野と運動前野の6野が働くことがわかりました(図2参照)。4野や6野は運動を司るところなので働くのは当然ですが、注目すべきは9㎞の速さで走ると前頭前野の46野あたりが働くようになる点です。ここは、以前にお話ししたワーキングメモリーにあたる領域で、短期記憶をしたり情報を分析して計画を立てるときに使います。この領域がよく働くということは、頭の回転が早くなるということです。
図2 大脳の左半球の構図 (ブロードマンの脳細胞構築図)
この実験結果から、運動で脳を鍛えるためには、ゆっくり歩くより軽く走ったほうがよいということがわかります。