2024年6月20日(木)

人口減少社会とスポーツと子どもと

2024年5月4日

 幹大さんは身長160センチ、体重60キロ。身長は学校のクラスでも前から3、4番目と小柄だが、所属する硬式のシニアチームでは長打を期待される4番を打つ中心打者だ。

 大きな当たりを打ちたくて中学入学時から根鈴道場へ通う。章仁さんは息子の野球に労力も金銭面でも協力を惜しまなかった。

 成果もあって、中学で最初に入った硬式のチームでも練習で大きな当たりを連発した。しかし、年配の指導者から打撃フォームで目をつけられ、ストップがかかった。

 「なんだ、そのスイングは。体が小さいんだから、ゴロを打て。そんなスイングをしている間は試合では使わないぞ」

中学2年の森田幹大さんは小さな体だが、豪快なスイングで打球を飛ばす

 章仁さんは「まるで脅迫だった」と振り返る。幹大さんも「どんなに練習をしても、この打ち方なら試合で使ってもらえないと言われて、打撃フォームを変えようかと思った」と打ち明ける。それでも、自分の理想に近いフォームを変えたくなくて、最終的には数カ月で退部を選んだ。

目標は「甲子園」ではなく、海の向こうへ

 幸いにも、父が練習に付き合ってくれ、根鈴道場にも通い続けた。数カ月が経ち、現在のチームに入ることを決めた。

 入団の際、チームの監督には「打撃フォームを変えたくないんですが、大丈夫ですか」と伺いを立てた。「うちのチームは自主性を重んじています。自分のフォームで勝負してください」と言ってもらえた。

 新天地で野球に熱中する幹大さんのもとには、すでに甲子園出場経験のある高校から声がかかっているという。しかし、将来はメジャーリーガーを夢見る幹大さんの目標は「甲子園」ではない。中学を卒業したらカナダの高校への進学を目指しているという。あこがれの存在は、根鈴さんの長男で昨年秋からカナダへ渡り、現地の高校に通いながら野球を続けている風大くんだ。

 根鈴さんは「野球をやっている子どもたちの夢がプロ野球選手ということは変わらなくても、それが日本のプロ野球ではなく、最終的にはメジャーという流れになっている」と指摘する。

 従来は高校野球で甲子園を目指し、その後に最短なら高卒でドラフト指名を受け、大谷選手のように日本のプロ野球で活躍をしてポスティングシステムでメジャーへ行くというのが理想的なモデルケースだろう。一方で、この春からは大谷選手と同じ岩手・花巻東高から米スタンフォード大学へ進学する佐々木倫太郎選手が注目を集める。


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