ウクライナでも厳しい兵の動員
この社説には言及がないが、当面のロシアの攻撃を凌ぐためにも重要かつ国内的に機微な問題は兵の補充、即ち、動員の問題である。ウクライナは死傷した兵を補充し、戦争開始以来前線にある兵を交替させ休ませる必要に迫られている。
開戦当初こそ、自発的に軍に参加を志願する者も多かったが、もはや進んで志願する者はいないらしい。難航した審議の末に、4月11日に議会が賛成:283、棄権:49で可決した法案は、動員の体制を強化することをその内容としており、18歳から60歳までの男性(外国に逃れた者を含む)の軍当局への登録と登録証の常時携帯の義務、これに応じない者への旅券の発給拒否などの罰則、兵役に伴う財政的恩恵、新たに徴募される兵に対する義務的訓練、などを規定している。
この法案とは別に、4月2日、ゼレンスキーが動員の対象年齢の下限を27歳から25歳に引き下げる法案(昨年5月に議会が可決していたもの)に署名し、成立した。しかし、これで兵の補充が円滑に進むということにはならないだろう。
誰を何人徴募することになるのかはウクライナ社会にとって非常に機微な問題たらざるを得ないが(前総司令官のザルジニーは50万人の動員を勧告したことがある)、辛く困難であっても、国を守るためには克服する必要がある。