2024年4月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月29日

 2024年2月28日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、ウクライナ支援のために派兵も選択肢として排除されないとのマクロン仏大統領の発言が、その意図に反して、欧州諸国内の分裂を露呈しているとLeila Abboud同紙パリ支局長が論じている。

EU首脳会議終了後、記者会見に臨んだフランスのマクロン大統領(AP/アフロ)

 フランスのマクロン大統領は、ロシアの脅威に対する欧州で最もタカ派的発言者の1人となった。2月26日、彼はタブーを破ってウクライナへの地上軍派遣を否定することを拒否し、欧州連合(EU)諸国首脳とロシアを驚かせた。欧州諸国は慌ててマクロンの示唆を否定したが、これは外交政策上の失言ではなく、記者団からの質問に対する意図的な回答だった。

 パリでウクライナ支援国会議を主催した後、マクロンは、「ロシアがこの戦争に勝てないようにするために、必要なことは全てやるつもりだ」と述べ、軍隊の派遣については「コンセンサスは得られていない」と認めつつも、同盟国の間では議論されており、この考えを排除すべきではないと主張した。

 マクロンがロシアの侵攻を食い止めようとプーチンと最後の交渉をした22年2月とは大違いだ。ロシアによる攻撃の後でさえ、彼は、ロシアに「屈辱」を与えてはならず、和平の見返りとして西側が安全を保障することが必要だと主張していた。その消極的な姿勢は、東欧同盟国のフランスに対する信用を失墜させた。

 ロシアのウクライナに対する容赦ない攻撃は、マクロンの考え方を一変させた。彼は、ウクライナがいずれ北大西洋条約機構(NATO)に加盟するという考えに傾き、東欧諸国に対してプーチンの脅威について彼らが正しかったとして謝罪した。

 マクロンの問題は、フランスにはウクライナを守るために「必要なことなら何でもする」手段がないことだ。フランスは中規模の軍隊を持ち、EUで唯一の核武装国であるが、財政が逼迫しているため他の支出を削減しない限り防衛に資金を投下する力はない。


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