2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年3月29日

 欧州諸国のウクライナ支援国会議でスロバキアの首相からウクライナへの派兵の可能性について発言があり議論があったようで、記者の質問に答えたマクロンの発言は事実に即したものであった。ただ、その後にロシアを戦争に勝たせないために必要なことは何でもすると踏み込んだ発言をしたのは、内々考えていたことを口に出し、プーチンにメッセージを送ろうとしたのであろう。

ロシアの次のターゲットは?

 そもそも、バイデンが早々にウクライナに派兵しないと明言したことで、ロシアは安心して国境を越えてウクライナに侵入したわけであり、今回ドイツや英国が先を争うようにウクライナへの派兵の意図を打ち消したことも同様の効果を持ってしまうかもしれない。本来、西側諸国にとってウクライナへの派兵は、集団的自衛権としての国際法上の権利であり、これを放棄し、ウクライナへの武器援助はするがそれ以上はしませんと自らの手を縛るのは、ロシアとの直接衝突を避けたいからであろうが、それがロシアに有利に働いてしまうということを十分に考慮していないように思う。

 戦争や核戦争を恐れることは、ロシアも同様のはずなのに、ロシアの脅しの前に西側が譲歩してしまっていることに他ならない。これではロシアはNATOや米国の核の傘にないモルドバやジョージアが次のターゲットとなることは明らかである。

 マクロン発言に関し、エストニア、リトアニア及びオランダは否定しなかったと報じられており、プーチンとしても多少の警戒感を持つことになれば、ロシアのウクライナ侵略のコストを上げ、多少の抑止的効果も期待できるのではないか。

 いずれにせよ、マクロンに対しては、言葉だけではなく、ウクライナに対する支援をもっと充実できるはずだとの批判も、その通りだと思う。

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