2024年6月17日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年5月24日

 この浅瀬をめぐる紛争は、係争中の数十の島や岩礁等の1つである。習近平の中国がますます攻撃的になる中、フィリピン、ベトナム、マレーシアといった東南アジア諸国は、自国の領有権を主張し、経済的利益を追求するために行動している。

 この地域はここ数年で最も戦争に近づいていると言える。比海軍の報道官は、これは中国の「膨張主義」を示すものだと述べ、「西フィリピン海で起きていることは、中国が世界に対して行おうとしていることの縮図に過ぎない」と付け加えた。

 中国は南シナ海全域に常時数百隻の船舶を配備している。これら船舶は沿岸警備隊と海上民兵が混在し、政府出資のものも商業漁業用とし登録されているが、係争海域での中国のプレゼンスを確立するために使用されている。これらの船舶は何年もの間、シエラ・マドレ号の周辺をうろついていた。

 2021年、フィリピンが補給活動を行うたびに、中国は平均1隻の船を派遣しただけだった。23年には平均14隻に急増した。昨年12月には、少なくとも46隻の中国船がセカンド・トーマス礁周辺をパトロールしていた。

 かつてはまれだった放水銃の使用が、昨年12 月以降は常態化している。3月5日の補給任務の際、2隻の中国船がフィリピン船からすぐの距離で放水銃を放ち、船のフロントガラスを粉々にし、船員4人が負傷した。

 比の補給船が数隻損傷し、攻撃が激化していることへの懸念が高まっているため、比政府高官は、任務遂行の方法を再考していると述べた。海軍のトリニダッド報道官は、「われわれはめげない」と語った。

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日米との連携でフィリピンは毅然とした対応

 上記記事では、セカンド・トーマス礁における比中間の緊迫した攻防が詳細に描写されている。中国は、フィリピン側の否定にもかかわらず、フィリピンがセカンド・トーマス礁を永久に占領しようとして建設資材を運び込もうとしていると言い、昨年以降大幅に船舶数を増やし、座礁船への補給活動を執拗に妨害している。フィリピンは、補給船が数隻損傷し、懸念が高まっているが、「われわれはめげない」と語っている。


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