ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニストでバード大学教授のウォルター・ラッセル・ミードが、4月8日付けの論説‘Does Biden Take China’s Threat Seriously?:His diplomacy is provocative, but his strategy isn’t preventive enough’で、バイデン大統領は中国の脅威に対応するための措置に真剣に取り組むべきだと指摘する論説を掲載している。要旨は次の通り。
この6カ月の間、ホワイトハウスの関心は中東に向けられてきたが、岸田文雄首相の訪米により、ホワイトハウスの関心がインド太平洋に向けられることとなる。
積極性を増しつつある日本との安全保障関係を深めることが米国の戦略の中核であるが、それはバイデン政権のアプローチの可能性と落とし穴の双方を示すものだ。中国の国力が増大し、鄧小平時代の「平和的台頭」政策をかなぐり捨てる中、日本は中国の脅威に対し、防衛支出を増やし、米国との安全保障関係を強化し、フィリピンのような隣国との軍事協力・関与を強化することで対応しようとしている。
しかし、米国が日本との協力を緊密化させることにはコストもある。中国のナショナリストは、日本を最大の歴史的な敵と見ており、米国を現代における最も強大な敵と見ている。
中国の国際政治へのアプローチの根幹には米国とのゼロ・サム的な競争の考え方があり、中国共産党が中国の人民を習近平と党指導部の下にまとめ上げる上では、日本に対する敵意が重要な要素となっている。
中国の指導部も世論も、日米首脳会談を習近平とその台湾統一の目標に対する米国の直接の挑戦のエスカレーションと捉えるであろう。問題は、バイデン政権と米国がその余波に対応する準備ができているかである。
バイデン大統領は中国からの脅威がどの程度深刻か理解しているのだろうか。大統領は、米国と同盟がそこで成功を収めるための計画を持っているのか。大統領は、軍事および外交を担当するチームに対して必要な資源と政治的支援を提供する考えはあるのか、また、それができるのか。