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米国防総省は21日、ロシアが先週打ち上げた人工衛星に、他の人工衛星を攻撃できる能力が備わっている可能性があると発表した。
同省報道官のパット・ライダー准将は、「ロシアは地球の低軌道に人工衛星を打ち上げたが、我々はこれが対宇宙兵器である可能性があると評価している」と述べた。
また、アメリカ政府の人工衛星が「同じ軌道上」にあると説明。政府は引き続き状況を注視しているが、自国の利益を守る準備を行ったと述べた。
ロシアはこの問題について公にコメントしていない。
アメリカとロシアはここ数週間、国連で宇宙兵器をめぐって繰り返し衝突している。どちらも、相手が宇宙空間の軍事化を模索していると非難している。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は21日、アメリカが宇宙を「軍事衝突の場」にしようとしていると述べた。
多くの軍事専門家は長年、世界がますます技術に依存する中で、宇宙が次の戦争の前線になると警告している。
アメリカとロシアの宇宙対立
ライダー報道官はこの日、米国務省はロシアの人工衛星について、「地球低軌道にある他の人工衛星を攻撃することが可能」だと考えていると述べた。
「ロシアはこの新しい対宇宙兵器をアメリカ政府の人工衛星と同じ軌道に投入した」
「さらに調査によれば、この人工衛星は2019年から2022年に配備された対宇宙ペイロードに類似した特徴を持っている」
「我々には、宇宙という領域を保護・防衛する準備を整え、(北大西洋条約機構の)共同統合任務部隊に対し、継続的で中断のない支援を確保する責任がある」
これとは別に、米宇宙コマンドの報道官はロイター通信に対し、ロシアの人工衛星は「おそらく、地球低軌道にある他の人工衛星を攻撃できる対宇宙兵器だろう」との見解を示した。
この報道官によると、人工衛星「コスモス2576」は5月16日、モスクワの北約800キロメートルにあるプレセツク宇宙基地から打ち上げられた。
ロシアの国営宇宙公社ロスコスモスは声明で、5月17日の打ち上げは「ロシア連邦国防省の利益のために」行われたと説明している。打ち上げには「ソユーズ2.1b」が使われたという。
日付の違いは、ロシアとアメリカの時差が関係しているとみられている。
ロシアもアメリカも、これ以上の詳細は明らかにしていない。
しかし宇宙アナリストらは、「コスモス2576」はアメリカの人工衛星「USA314」と同じ軌道上にあるようだと指摘している。
ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、ウクライナ軍を支援しているアメリカの人工衛星が合法的な標的になると警告してきた。
今年2月には米ホワイトハウスが、ロシアが「やっかいな」宇宙兵器を開発していることを認めた。ただし、まだ配備されていないとしていた。
米首都ワシントンを拠点とする戦略国際問題研究所が昨年発表した報告書によると、ロシアはさまざまな対人工衛星(ASAT)兵器を開発しており、2021年11月にはソ連時代の廃棄された人工衛星に対するミサイル発射実験に成功している。