2024年7月15日(月)

令和の日本再生へ 今こそ知りたい平成全史

2024年6月6日

時代で変わるアディクション(依存症)
アルコール依存からゲーム依存

山田 みんな塾や習い事に通っているから、放課後、公園に行っても誰もいない。仕方がないから家でゲームをやるしかない、となってしまう。でも、ゲームってアディクション(依存症)を引き起こす危険性があるんですよね。

 僕は、寿町(横浜にあるドヤ街)の取材を継続していますが、寿町の住人にはアルコール依存とギャンブル依存の人がとてもたくさんいます。ところが近年、寿町に入ってくる若い人の中にゲーム依存の人が増えているのです。ゲームが原因で周囲とトラブルを起こし、ネットカフェでゲームをしながら寝泊りをしていて、やがて現金を使い果たすと、行き場がなくなって寿町にやってくる。ゲーマーのなれの果てです。

 名だたる一流企業がゲーム機やゲームソフトを作っているわけですが、子どもがアディクションを起こす危険性のあるものを作っていて、いったいどんな気分なんだろうと僕は思います。だって、アディクションを起こす危険性のあるアルコールやギャンブルを、子どもにすすめる大人なんていないでしょう? 保護者の多くがゲームの扱いに頭を悩ませているんです。
 塾にせよゲームにせよ、「子どもで稼ごうとするのはやめてくれ!」と、僕は声を大にして言いたいですね。

小林 公立学校で言えば、先生の質を上げるしかない。それに尽きます。先生の負担を減らして、人員を拡充する。例えば、教員免許がなくても大人をつける。見守りの役の担当を設けるなどすると、担任教師の負担が軽減されて、教えることに集中できると思います。

山田 学校と関わってみてしみじみ思うのですが、教師ってすごい仕事だと思います。たったひと言で、子どもの可能性をひろげたり、個性を伸ばしたりすることができる。そんな仕事って、めったにありあせん。見ていて羨ましいぐらいです。

 もちろん、先生方の労働条件を整備することも大事だと思いますが、一番問題だと思うのは、「子どもを教えるって素晴らしい」という声が、学校からほとんど聞こえてこないことです。

 聞こえてくるのは、負担軽減のために運動会を半日にしましょう、学芸会は廃止しましょう、○○は縮小しましょう、××は短縮しましょう、軽くしましょう、楽にしましょう……そんなことばかり。

 もしも、本当にいい人材を採用したいのだったら、まずは、プライスレスな「教えることの素晴らしさ」を、もっと学校が発信するべきではないでしょうか。 その発信があった上で労働条件の整備がされていくべきだと思うのですが、いまは、労働条件の整備に関する議論ばかりが行われている。

 僕だって、思い起こせば、小学校の先生に言われたひと言が今の仕事の支えになっているわけで、たったひと言で子どもの人生を支えられる職業なんて、他にないですよ。

出井 手前味噌になりますが、僕と山田さんは、結局、世の中で言うところの、いい大学に行ったんだけど、 大企業にいるわけでもないし、稼いでいるわけでもない。でも、売れないかもしれないけど、自分の好きなテーマを取材し続けている。

編集部 おっしゃる通りです。最初に来るべきは「自分が何がしたいか?」であり、受験はその手段でしかありません。しかし、首都圏における中学受験などは、「受験」そのものが目的化しているように思えます。もちろん、「学歴」は必要ですし、努力して得た結果として、自分の誇りやアイデンティティにすることも悪くないです。だからこそ、自分自身と向き合って「これだ!」というものが見つかってから「どこ(学校)で学ぶのか?」を決めても遅くないと思います。皆さま、長時間にわたっての鼎談、ありがとうございました。

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