2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月3日

 今後について、この論説は、前線の要塞化を急ぎ進め、動員によってウクライナ兵の増強を進めれば、米国の武器弾薬の流入と相俟って、ウクライナが立ち直る時間はあると書いているが、論説の末尾の一文は何やら不吉な印象を与える。

米国の政策変更の必要性

 緊急に必要とされることは、この論説もその必要性を強調しているが、米国の武器でロシア領内を攻撃することを禁ずる使用制限を米国が解除ないし緩和することである。米国の規制はロシア領内に聖域を作り出し、ロシアはウクライナの攻撃を怖れることなくハリキウ州への越境攻撃に先立ち地上軍を国境の反対側に集結させることができたことを意味する。

 ロシアは地上軍の侵攻に先立ち、ロシアの空域から爆撃機で滑空爆弾(この爆弾は安価でありながら大変な脅威のようである)を投下して地上作戦を支援することが出来たが、ウクライナは米国のパトリオットでロシアの爆撃機を迎撃することが禁じられていたことになる。

 第三次世界大戦を引き起こすロシアによるエスカレーションを防ぐというのが米国による使用制限の政策の根拠であるが、如何にも馬鹿げている。少なくとも、この政策の緩和は工夫可能と思われる。

 5月3日、キーウを訪問した英国のキャメロン外相は英国の武器をどう使用するかはウクライナの判断だと表明した。米国を説得出来る外国があるとすれば、英国であろう。

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