2024年10月6日(日)

「永田町政治」を考える

2024年7月8日

小池、蓮舫嫌う有権者が石丸氏に?

 今回、165万票を獲得、蓮舫氏をしのいで2位につけた石丸伸二氏は選挙前2カ月足らずの5月17日に出馬会見、広島・安芸高田市長を辞職して挑戦した。

 政治再建、都市開発などを公約に掲げたものの、市長4年間以外の政治経験に欠け、政党の後ろ盾もなく、手腕は未知数。どんな人物なのかよくわからないというのが有権者に共通の印象だった。

 SNSの影響力を最大限利用、若年層をひきつけたといわれるが、それにしても、無名の新人が短期間でこれだけ支持を広げることができたのは、小池氏、立憲民主党と共産党が支援する蓮舫氏に飽き足らなさを感じていた有権者の票を奪ったのが一因とみるのが妥当だろう。

 石丸氏は小池当選が決まった後、「胸を張ってできることは全部やった」とすがすがしい表情で語った。

「歴史的」と豪語する小池氏の功績は

 現職、小池氏の得票は291万票、得票率42.8%。初当選の2016年も291万票、44.49%で今回とほぼ同じ、前回は366万票、59.7%だったから、今回は一転、票数で70万、率では17ポイント余、減少した。

 演説中に、「やめろ」コールを浴びせられて一時立ち往生する場面も今回は見られ、全盛期の勢いが失われていることをうかがわせた。

 今回、選挙戦を通じて知事は、16年以来の2期を振り返って、「都政の歴史に残る8年間。政策目標を9割以上達成した」と総括、自賛していた。

 コロナ対策、待機児童解消問題などで一定の評価は、もちろんあるだろう。しかし、大向こうをうならせるような大きな実績があるわけではなし、「歴史に残る」などといわれると、思わず鼻白む。

 学歴詐称問題はなお尾を引いているし、敵を作ることで自らの存在を際立たせる、職員に対する態度が高圧的だ――などその政治手法への批判は絶えない。

 自民党は、小池氏が初当選した16年の選挙では、出馬手続きが不誠実だったこともあって反発、対立候補を擁した。今回はその小池氏に対し、人気低下を承知で、東京都連独自とはいえ、全面的に応援したのだから、筋が通らないという批判もあろう。

 「本物の少子化対策」「本物の行財政改革」などの公約を掲げた蓮舫氏の得票は128万票にとどまった。石丸氏の後塵を拝したが、当初から及ばないのではないかという予想が少なくなかった。

 都選出の参院議員、元行政刷新相として知名度は高い。反面、「批判ばかりしている」などとして反発も買い、22年の参院選(東京選挙区)の得票は、67万票まで落ち込んだ。10年が171万票、16年が112万票だから、小池氏以上の低落傾向だ。

 4月の衆院補選で立憲民主党が全3勝したのをみて出馬を表明したが、計算高いとの指摘にもかかわらず党は出馬を認めた。

 落選が決まった後、蓮舫氏は「失意悠然」と語ったが、これだけ惨敗すればむしろさばさばした心境だろう。


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